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魔法つかいプリキュア!♦ダークジュエルストーリー♦

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 彼もまた人間の強さを知り、人間のよき理解者となりつつあった。


 命からがら逃げてきた小百合とリコが、弱った羽虫のように曲がりくねった軌道で飛んできて魔法学校の門の前に降りてきた。レーシング用の箒で長距離を二人乗りしてきた小百合の魔力はほとんど残っていなかった。リコに至ってはそれ以前に魔力が尽きている。もう二人ともへとへとで、地上に立った途端に仲良く倒れてしまった。二人とも息を整えるのに時間がかかった。しばらくしてから、倒れたまま顔だけリコに向けて言った。
「ナイスな魔法だったわ」
「け、計算通りだし」
「この状況で強がりとか、ある意味尊敬するわ……」
「くるしいモフ……」
 モフルンがリコのお腹の下敷きになっていた。
「ごめんなさい」
 リコは転がって仰向けになった。小百合は少し苦心して上体だけ起こして座り込んだままリコを見おろす。二人ともまだ息が荒かった。小百合はリコの胸の辺りに光る物を見つけていた。
「リコ、胸のペンダントが光ってるわ」
「え?」リコも起き上って座ったまま、制服の下に隠していたペンダントを引き出した。すると見慣れた宝石が目に入る、「アクアマリンのリンクルストーン!?」
 リコがもしやと思って見ると、小百合の右腕にも光る物があった。
「あなたの腕輪にも」
 小百合は腕輪を見ても、それを予期していたかのように落ち着いていた。
「オレンジサファイアのリンクルストーン……」
「リンクルストーンが力を貸してくれていたなんて……」
 二人で泣きたいような顔を見合わせる。それから小百合が言った。
「リンクルストーンは一人の力では使えないわ」
「わたし、みらいの存在をすぐ近くに感じたのよ」
「わたしもよ。ラナがすぐ近くにいてくれた。それを実感する瞬間があったわ」
 二人のリンクルストーンがそれぞれのアクセサリーから離れて、飛んできた宝石がモフルンとリリンの両手の上に乗った。
「みらいの思いがリコを助けたモフ」
 モフルンがアクアマリンを持ちながら言った。
「ラナの思いにリンクルストーンが答えたデビ」
 オレンジサファイアを両手にリリンが言った。すると小百合は感謝すると同時に自分を深く反省する。
「リリンがリンクルストーンを持ってきてくれなかったら、わたしたちは助からなかったわ」
「わたしもよ。モフルンがリンクルストーンを持っていくように言ってくれたから……」
「わたしたち助けられてばかりね」
「本当にね」
 そして、リコと小百合の感謝の言葉が重なった。
『ありがとう』
 今度はモフルンとリリンの笑顔が重なった。