逆行物語 第五部~交差~
ルッツ視点~現~
2度目の転機が訪れた。それは出入りの商人がもたらした事だった。
「今度、神殿の灰色巫女と灰色神官を雇う事にした。」
俺はその場にいなかったけど、仕事仲間が詳しく聞いてくれたんだ。
この頃、神殿の孤児が非番の兵士に連れられて、森に来る様になっていた。ギュンターおじさんが言ってたけど、良い臨時収入になるって話だった。でも俺には関係無いと思ってた。とんでも無かった。
孤児達は神殿の外に出てきている。森だけじゃなく、町にも関わっている。町で孤児がやっているのは、行儀作法を教える事だ。
ある程度大きな商会になると、お貴族様との付き合いが出てくる。当然、失礼な事は出来ない。だから失礼にならない立ち振舞いを覚えなきゃいけない。
でも教える人を雇うと大金が掛かる。けど灰色神官や灰色巫女は本来よりずっと安く提供してくれる。
そんな訳で利用した商会が幾つかあって、その中で彼等の持つ計算含む能力の高さを、認める商人がいたって事だ。
「親から離れる良い機会だ。」
皆が背中を押してくれた。俺は走った。神殿に。そして話は冒頭へ。
作品名:逆行物語 第五部~交差~ 作家名:rakq72747