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逆行物語 真五部~ローゼマイン~

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“女神”が傍に居ない“魔王”



 ツェントの影。そう呼ばれるエーレンフェストは、どんどん順位を上げていく。私の時とは違い、徐々にだったし、グルトリスハイトに関わる事だから、妬みも余り無い。
 既に生前の私が親しくした人は居ない。そして誰の魂とも、私は会ってない。…会いたかったよ、フェルディナンドに。

 この流れでは私の事なんか知らないって解っているけど、彼に一言で良いから裏切者って言いたかったよ。
 自覚無い片想いでいれば、まだ仕方無いと思えたけど、監禁凌辱なんて形で、養父様に執着した事が許せなかった。

 私を全ての女神と言った貴方が、

 その同じ口で、

 養父様を礎と言った。

 そこまで言った癖に幸せにならなかった事が何より許せなかった。不幸になる道を選んだ事が許せなかった。

 それなのに。

 彼が幸せになるには、私の存在が必要なのだと、暗い悦びが心を満たしていた…。

 永い時間が経って、少しずつ感情が凪いで、私はフェルディナンドだけは譲れないと知る。その為に、私と言う足枷を養父様とエーレンフェストに着けてでも、フェルディナンドの隣にいたいと。
 私とフェルディナンドの足枷に繋がる養父様とエーレンフェストで、皆が納得出来る形で共有して、幸せになりたいのだ。
 そして長生きしたい。共に逝けたら一番良いけど、それは難しいだろうから、フェルディナンドより長く生きたい。寿命を順番通り、守ってあげたい。……でもフェルディナンドは頑健だし、それ以上に養父様が頑健だし(ストレスたっぷり、5才上の養父様の方がフェルディナンドより長生きした)、まあ、ユルゲンシュミットの平均寿命生きれたら良いかな。それだけ一緒にいたら、フェルディナンドも覚悟出来るだろうし。

 なんて、馬鹿げた妄想で、私は私を慰める。

 そして、景色が止まった。