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逆行物語 真三部~麗乃=マイン~

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3回目の始まり



 巻き戻った時間は“マイン”が産まれた日だった。無事に産まれながらも、虚弱と身食いのコンボで死にかけ、そして5才で前世を思い出し、本の為に爆走を始める。
 今の私から見れば、色々突っ込みたい処があるし、本当に運が良かったんだと思う面が沢山あった。
 神殿で図書館へ突入して、その後のあれやこれやに胸が締め付けられる。…気付いた事がある。
 フェルディナンドが、私に優しかった理由。孤児に手を伸ばさない事を選んだ彼が、私を助けようとした理由。それは……。

 父さん、だ。

 命懸けで私を守る父さんの姿に、フェルディナンドは胸を打たれたんだ。
 第三者視点で見れる私は、父さんや母さんが自分達の命を懸けるだけで済むと、無意識に思い込んでいる事に気付いた。
 住んでいる村を丸ごと粛清されるとは欠片も考えてないし、トゥーリに危険が及ぶとも思っていない。
 貴族と平民の差は、柵に対する知識の差でもある。
 当時の私も、フェルディナンドもそこまで考えてはいない。
 平民を理解しないフェルディナンドは、父さんや母さんの愛情の深さと大きさに感動し、その2人を守りたい私を守る事を決めた。
 私は貴族の事を何時まで経っても理解していなくて、養父様が自分の命1つ懸けるだけで済むと思えば、私やフェルディナンドの為に命を投げ棄てる人だとは最後まで気付かなかった。フェルディナンドもきっとそうだろう。

 灯台下暗し。

 こうして見れば、随分滑稽だ。

 カーオサイファ作の模造品は、人の魂だけじゃなく、世界そのものに対しても言えるのかも知れない。
 偶然で変わる過去は、何1つ擦れる事なく(多分)、全て過ぎていった。

 変化は、私が毒で眠った後に。

 中央神殿のキュントズィールが現れた。

 突然、現れた前々回(次回より1回目)にも前回(2回目)にも登場しなかった人物を、私は直ぐ様観察しに行った。
【アダルジーザ……。】
 フェルディナンドに良く似ている。瓜二つと言う程ではないし、性別も年齢も違うから、フェルディナンドとの血の繋がりに気付くかどうかは解らないけれど、見る人が見れば解るかも知れない。それにしてもフェルネスティーネって……。明らかにカーオサイファが言ってた“知識”さんだね…。

 彼女は芸術面に優れた才能を見せ、その慈悲深き精神を称えられ、また、神に愛でられた魔力は膨大で…、とにかくエーレンフェストの聖女を意識した様な宣伝だ。
 私は彼女の近くに行くと、彼女が大人達と渡り合って、話をしているのが解るのだけどヤッパリ、日本の知識を利用している。けれど、私がやって来た事よりも、スムーズに受け入られている。
 私の知識を持っていると言う話だけど、私みたいになる訳じゃないみたいだし、ユルゲンシュミット人として、日本の知識を持っている、使っていると言う事だろう。フェルネスティーネの政治的な遣り方は、私が暴走列車だったと教えてくれる。…説教されてる気分だよ…。