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逆行物語 真三部~麗乃=マイン~

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醜さとの向き合い



 ヴェローニカ派の子供達が高みに昇る。私に名を捧げてくれた彼等も例外じゃない。

 子供達に罪はない。

 嘗ての私と同じ主張は受け入れられない。嘗てとは状況が違う。養母様はそれを理解出来ない“ローゼマイン”に驚いているし、理解出来ない。
 再教育した方が良い、なんて話が出てる。程無く実行に移されるだろう。
 そしてフェルディナンドとの仲は亀裂が入っている。ヴィルフリート兄様とも溝が広がりつつある。

 ハルトムート、だ。

 一歩扱いを損なえば、頭の良い狂信者は潜在的な敵になってしまう。多分、嘗てヴィルフリート兄様と私の距離が遠くなったのも、ライゼガングが増長したのも解っていて、敢えて私がより離れようとする様に動いていたんじゃないだろうか、と思えてしまう。

 フェルディナンドには敵わなかったけど。

 …そして私は気が付いた。ヴィルフリート兄様を養父様の身代わりにするくらい、養母様を娶った事、抱いた事、アウブを奪った事が精神的に大きな負担となって、フェルディナンドを苦しめていて、幸せとは程遠い事に。
 …敗北条件は“ローゼマイン”がフェルディナンドと幸せになること。詰まり、星を結ぶ事。でも、それを望まないって事は…、どう言う事だろう。

 フェルディナンドが、他の誰かと、幸せになる事? 

 ――違う。そんな事、私は望まない。

 ――私は、私が彼を幸せにしたいのだ。

 ――じゃあ、結局、私は彼の不幸を望んでいるの? 

 自分の醜さをはっきりと直視した。


 それでも、私はこの賭けを止められない。フェルディナンドを諦め切れない。

 醜いだけじゃなく、汚れていく……。

 だからね、フェルネスティーネ、貴方が何を考えているのか、解らないけど、養父様を逆レイプして子供を宿した貴方を、責める気はない。
 だけど同時に、私は我が儘だから。攻撃はするよ? 許さないよ? 怒りも悲しみも憎しみも、遠慮せずにぶつけるよ?
 この時間が止まった時、私は見逃さない。出来る出来ないじゃない。やるんだ。

 崩れていく景色の中、私はフェルネスティーネの首に手を掛けた。触れた感触が確かにあった。そのまま力を込めた。その瞬間、彼女の体から3つの光の玉が、私の体をすり抜けて。

 景色と共に、彼女は崩れた。

続く