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逆行物語 第六部~エーレンフェストの女達~

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エルヴィーラ視点~フェルディナンド様はエーヴィリーベ~



 私がフロレンツィア様より内密のお話があると呼び出されたのは、エラントゥーラの始まりだったかも知れません。
 内々で伝わっておりました、フェルディナンド様の婚約、その相手が隠されて育てられた、アウブ夫妻の第一子…。更にヴェローニカ様が大賛成し、引退された背景。…色々と衝撃でございました。

 ヴェローニカ様とフロレンツィア様。

 ヴェローニカ様とフェルディナンド様。

 嫁姑の派閥闘争に継母子の虐待。和解と言う、尤も有り得ない形で終息したのですから。…蟠りが全て無くなった訳では無いのでしょうが。

 それはともかく私は神殿に居ると言う、フェルディナンド様のご婚約者の、アウブの長子に会いに向かいました。
 洗礼前の子供を大々的に紹介する事は普通は無い事ですが、エーレンフェストが大きく動き出す今、出来うる限り、派閥融和の味方を作ろうと言う考え方なのでしょう。
 神殿ではフェルディナンド様が選ぶ灰色の側近を使う為、今、ヴィルフリート様の城での側近は外されております。せめて護衛は着けた方が良いかと思うのですが、存在を秘匿されていた長子の側近が決められない状態で、ヴィルフリート様の護衛は付けにくいのでしょう。
 洗礼式後はヴィルフリート様が長子となられますから、その後なら問題無いのですが。
 …神殿の廊下をフロレンツィア様の後ろを進みます。向かう先は神殿長室だそうです。今まで神殿長を務めていたヴェローニカ様の弟も引退し、今はヴェローニカ様と共に姉弟一緒に過ごされている様です。噂ですが、えげつない結界を張られて、守られているそうです。…フェルディナンド様によって。
 今、神殿長の座は空位ですが、ヴィルフリート様が洗礼式を迎えた後に正式に引き継ぐそうです。
 貴族社会では神殿は蔑みの対象です。しかしヴィルフリート様は次期アウブだとジルヴェスター様とフェルディナンド様で決められたそうです。
 驚きですが、これよりは次期アウブが神殿長を務めるものと決めるそうです。その理由はフロレンツィア様さえ解らないそうです。
 只、その話をしている際、盗聴防止を使用していたとか。しかも唇の動きさえ、見えなくなる新しい魔術具を使用したそうです。

 …………神殿長室の前まで来ました。お話では今、アウブも中に居ると言う事です。

 「あっ、やめっ、フェルディナンド!」

 扉の前で焦った様な声がしました。…ええ、アウブの。

 「ああっ、激し、魔力、流すなっ、」

 ………何しておられるのです?

 「そんなっ、大きいの、ダメっ、壊れるっ、」
「心配する必要はない。私に任せておけ。」

 思わずフロレンツィア様共々固まっていた私達でしたが、フェルディナンド様の声も聞こえた、と思った瞬間、フロレンツィア様がいきなり扉を開け放ちました。

 ……………え、誤解、ではないのですか?

 アウブが長椅子の上で、皮を剥かれる果物になって(服をひん剥かれて)おりました…。フェルディナンド様の手によって。
「あらお母様、御機嫌麗しゅうございます。」
「お久しぶりです、母上。」
 耳に届いた声は私やフロレンツィア様の口を閉ざす力がございました。ええ、そこには、神殿長室には、私に恋物語の執筆を勧めて下さったローゼマイン様と後に特殊な恋物語や、誰も思い付かない設定で物語や曲や歌を作る事になるヴィルフリート様がおられました。
 更に周囲を良く見れば、夫やエックハルトがいました(灰色もいたが、スルー)。
「…ローゼマイン、ヴィルフリート、エルヴィーラを紹介します。此方に来なさい。」
 どうやら何をなさっていたのか、確認する気は、少なくとも今は無い様です。…やはり誤解だと思いますし。同じ部屋にこれだけ人間がいるのですから。
 此方に向かわれたローゼマイン様を見て、私はその装飾品に目を見張りました。全身を包むその装飾品は、美しく、上品な…、お守りでは…。
 …フェルディナンド様、貴方はエーヴィリーベですか!!??
 こんな幼子を己の魔力で全身を包むだなんてっ!!??
 初対面の挨拶をした後、そのお守りのお話になったのですが、その効果を得意気に、嬉しそうに語って頂いたお陰で、凶悪を幾つ重ねても追い付かない程の代物だと分かりました。
「私だけ貰えたのでは無いですよ? お父様だって…、」
 はい?