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逆行物語 第六部~貴族院のお茶会~

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ディートリンデ~腐女子化~



 私はなんと不幸なのでしょう。そう嘆くだけの日々がありました。お母様が高みに昇り、私は領主候補生から上級貴族に落とされたのです。
 勿論、アウブにならない私の、何れは訪れる道でございました。しかし早すぎるではありませんかっ!!
 …領主候補生と上級貴族では色々差がございます。何よりお母様が高みに昇られ、後ろ楯が無くなった事を示す様な措置で、当然、周囲もそれに準ずるのでございます。冗談ではありません。
 ですが、そんな私の耳にエーレンフェストの領主候補生の話が入り、考えが少し変わりました。
 平民育ちと神殿育ちの領主候補生…。身分こそ私より上ですが、実態は私の方がまだ幾分良いモノの様に思えます。

 貴族院に入学したお2人は神殿長を意味する白い衣装と、神官や巫女を意味する青い衣装を纏っていました。
 髪の艶には興味を持ちましたが、それ以上に常では無いお育ちに対する、好機の目で見られるお2人に同情しましたし、何とかお力になれないかと思いましたが、只の上級に落ちた私には何も出来ませんでした。
 それでも2人は私に従兄弟だからと、個人的にお茶会に誘って下さったのです。そして私にリンシャンを友好の印に分け与えて頂いたのです。
 そのお心遣いに感激していた処、更なる驚嘆に襲われました。

 エーレンフェスト本でございます。

 エーレンフェスト本を数冊お貸し頂いたのですが、それはどれも心踊るモノでございました。
 特に一番心惹かれたのは…、そう、ヴィルフリート様が書かれたと言う絵物語…。ああっ、無料での貸し出しの為、写本する(させる)時間が無いのが口惜しい!!
 そんな私の望みを読んだ様に、ヴィルフリート様は魔術具の手紙で仰いました。
「実は私が書いた絵物語と同様種の物語は、成人指定となっており、故にディートリンデには貸せぬのだが、もしどうしても読みたいと言うならば、今すぐの話では無いが、ディートリンデに渡せる様にしたい。不都合が無ければまた会って話をしたい。」
 と。
 私は再びヴィルフリート様とローゼマイン様にお会いしました。
「ディートリンデ、唇の動きさえも隠す盗聴防止結界だ。これから話す事は決して他言してはならぬ。」
 何処か楽しそうに仰います。
「今から裏技をお教えしますから。」
 ローゼマイン様も悪戯めいた笑顔を見せています。
「あの…?」
 首を傾げる私に、2人は話し出しました。
「成人指定の本は成人しか買えぬ。」
「つまり成人指定の本は成人が買えば問題ありません。」
「買った本の貸し出しも写本も、本人達の自由だ。」
「そして買った本の転売も禁止されていません。」
「そ、それは、つまり…、」

 成人している誰かに代わりに買って貰い、代金をその者に渡せば良いと? 
 私は目を丸くした自覚がありました。
「貴族院ならばフラウレルム先生が思い浮かびますね。」
「うむ、アーレンスバッハの寮監だからな。」
 私はごくりと咽を鳴らしました。

 こうして私は少しずつ、作家、アップルエデンの作品を集めて行ったのです。