逆行物語 第六部~貴族院のお茶会~
エグランティーヌ~神殿入りする領主候補生~
私は争いが嫌いでございます。政争とは無関係な位置にいたいと思います。しかし、私の血筋と立場がそれを許しません。
私は2人の王子に求婚を受けておりました。どちらを受けても、権力闘争に巻き込まれるのは目に見えております。エーヴィリーベが求めるの何かと問われる様なモノでございます。
いっそ神殿入りしたいと望み、自分なりに努力もして見ましたが、やはり私の領主候補生と言う立場だけで見ても、有り得ない選択で、私は1人、孤独を感じざる得ませんでした。
そんな時でございます。神殿長を勤める領主候補生と、青色巫女の領主候補生が入学すると聞いたのは。情報を教えて下さったのは、エーレンフェストの青色上がりの貴族であり、件のお2人もエーレンフェストの貴族でございました。
驚くべき事に、内お1人の女性領主候補生は平民育ち、もう1人の殿方の領主候補生は次期アウブでございます。
同じ領主候補生であっても、その立場には大きな隔たりがあり、にも関わらず、お2人共、神殿入りしているのです。
更にエーレンフェストでは現在、洗礼式を迎えた領主候補生は神殿入りをする事を義務付けられているとか。実際、まだ貴族院に入学していない末の女性領主候補生もまた、青色巫女だそうです。
更に成人している領主候補生である、現アウブの異母弟が神官長だそうです。恐らく、実務はこの方がされているのでしょう。
しかしどの道、エーレンフェストが奇特な領地である事は疑い様が無いでしょう。私は他の領地と違い、一際若いアウブの姿を思い起こします。
関わる事はありませんでしたが、他領のアウブは基本、覚えておりますし、他と大きく違う処があれば、印象に残り易いものです。然したる間も無く思い起こせました。
…私は何とかエーレンフェストの領主候補生と繋ぎを持ちたく思っていると、プリムヴェール先生の協力して下さいました。
何でもエーレンフェストの領主候補生達は音楽の造詣が深いのか、キュントズィールの加護が篤いのか、既に幾つか作曲されているらしく、先生方のご興味も大きい様でございました。
…しかし…、その折角の機会であるお茶会に、アナスタージウス王子が突如参加されると…。乱入と言っても差し支えないと思います。
お茶会にアナスタージウス王子が参加されると、エーレンフェストの領主候補生、ヴィルフリート様とローゼマイン様にお伝えする暇も無かった程、急だったのですから…。
作品名:逆行物語 第六部~貴族院のお茶会~ 作家名:rakq72747