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グリモア Pararel-Record EP1:逃亡

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阿川奈にて、とある男性の死亡事件が起こった。

間ヶ岾昭三――
それは、霧の護り手のテロリストである。
その娘、翔子はいち早く気がつき、現場へ向かった。
その死体は、どう見ても霧の魔物に食い荒らされたものではなく、殺人であった。

「お父様……。 いったい誰が、こんな真似を……!」

父の仕事上、どこかで命を落とすだろうことは覚悟していたはずだった。
しかし、父の死を目の当たりにすると、翔子は揺さぶられる感情を抑えきれなかった。

その時、鋭く冷たい、殺意のようなものを感じた。
翔子が振り向いたとき、そこにはどこか懐かしいがまったく違う、初老の男性が立っていた。
そう、その殺意を向けていた男……彼もまた「間ヶ岾昭三」であった。
後に判明する「裏世界」と呼ばれる世界から来た、パラレルワールドの間ヶ岾昭三そのものなのである。

「ほう……こちらの世界の私には「家族」が居るのか」

間ヶ岾は、口を開いた

「お父様!? いや、違う……。あなた、誰!?」

翔子は聞き返す。

「君の「お父様」だよ、お嬢さん」

彼は、そう返してきた。

「そんなはずはない! 確かに私の父は、ここに眠っている!」
「あなたは何なの!? どうしてそんなにも、お父様にそっくりなの!?」

翔子は、焦りを隠せなかった。
目の前には死んだ父を名乗る、年齢は違えどそっくりな男が立っているのだから

「君はどうやら「ゲート」というものを存じないようだね。
 私はその「ゲート」からやってきた、いわばパラレルワールドの間ヶ岾昭三だ」
 
どうやら、並行世界の同一人物、というものらしい。
翔子は言った。

「あなたの目的は何? お父様を殺して何をするつもりなの!?
 同じ存在なら、考えてることも同じはずでしょう!?
 手を取り合えば、目的はより達成に近づくでしょうに!!」

間ヶ岾は、鋭い目つきになり、語り始めた。

「いいや、違うね。そこの「彼」の考えていたことでは目的は達成されない。
 いずれ失敗する。その結末を、私が見てきたのだからね。
 だから私はやり直す……こちらの世界でね。
 公に彼を殺し、裏で間ヶ岾昭三という人物を自由に動かすために、私が乗っ
 取ることにしたのだ」

その答えを聞いた翔子は、間ヶ岾に言い放った。

「それだけのために……。
 それだけのために、お父様を殺したというの!!」

間ヶ岾は答えた。

「そうだとも。それ以上でもそれ以下でもない」

そして間ヶ岾は、銃をこちらに向け、更に鋭い顔でこちらを睨みつけながら言った。

「私には家族はいなかったが、ちょうどそこの間ヶ岾と同じ年頃だったら君と
 同じ年になるだろう養子が居てね。
 でも、仕方がないのだよ。
 私の存在を知られては計画が破綻する。
 かわいそうという感情はあるつもりだが……死んでもらおうか」

翔子は、すぐさま身を守る体制に入り、
その時持っていた催涙スモークを間ヶ岾に向けた。
間ヶ岾が不意の攻撃を受けて怯んだその隙に、翔子はその場を逃げ出した。

「ふん……さすがはこちらの私の娘。肝が据わっているな。
 だが、逃がさぬよ。
 こちらの霧の護り手を掌握した後、じっくり料理しようではないか!」

間ヶ岾は、不敵な笑みを浮かべながら逃げる翔子を見送るのであった――。