不運と幸運は表裏一体
葛之葉雨彦いわく。
例外中の例外もあって、ネガティブな感情を可視化した汚れを吸収するタイプの人間なんてものも居る。性根の素直さ優しさからか? 妬み嫉みのような感情にも寄り添い、あげく自身の中に汚れを取り込んでしまうようだ。
普通なら多少なりとも人間の周りに汚れが漂っているのだが、取り込んでしまうことで汚れが何も無いように見えていた訳だ。胎内回帰による癒しの一種なのだろうと推測されるが、それで本人が不運に見舞われてまうのは少々頂けない。
良くも悪くも利己的になれと言いたいところだが、本人の性格的にもそれは無理がありそうなのでせめて「自信を持て」とアドバイスした次第。自信の無い人間の弱さにつけ込んでくるような奴からの防御にはなるはずだ。微々たるものだがそれでも防御となるものが無いよりはいい。
「本当に個性的な連中が多いねウチのプロダクションは。 あいつ、本来だったら幸運の星の元に生まれてるんだがなあ。あんな真っ黒になるまで汚れを抱えてんじゃ死んじまってもおかしくない。だのにああやって生きていられるってことはとんでもない幸運と抱え込んでる不運が相殺されちまってんだろうな」
作品名:不運と幸運は表裏一体 作家名:tesla_quet