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逆行物語 裏六部 ~それぞれの時間~

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ジルヴェスター~女神を降ろした娘~



 領地対抗戦が終わり、式典が始まる。1年生最優秀に息子・ヴィルフリートと娘・ローゼマインが選ばれた。最優秀が2人である事に驚くと同時に、非常に誇らしい。私等より相当出来る弟に鍛え上げられて、人間かと聞きたくなる様な事もあるが、可愛い子供であるに違いは無い。血の繋がり等、些細な事だ。
 そんな気持ちで見守っていたのだが…、突如、天より降り注いだ美しい祝福がローゼマインに注いだ事で、事態は急変した。
「ツェント・トラオクヴァール。」
 その言葉を発するのはローゼマインではない。英知の女神、メスティオノーラ様だ。
「私は、英知の女神、メスティオノーラ。今、人の身を借りて、この地に降臨しました。
 ツェント・トラオクヴァール。今、ユルゲンシュミットにはグルトリスハイトを持つ者がおりません。私が初代ツェントに託したグルトリスハイトも、人が造った、グルトリスハイトの補助となる魔術具も、歴史の中で、政変の中で喪われています。
 まだ猶予はありますが…、どのみち今のままではユルゲンシュミットは、やがて崩壊してしまう事でしょう。」

 「謝る必要はございません。人の理で紡がれた歴史の是非を、神の理では測れませんから。
 けれど今、貴方が苦心を重ね、その身を粉にし、まるで馬車馬の様に酷使している事は解ります。…良く頑張りました。
 本当に…良く頑張りました。グルトリスハイトを持たぬ身で、このユルゲンシュミットを守る為、日夜関係無く、その身に国の責務を背負い続けるその意思に、私は敬意を評しましょう。シュタープを。」

 「貴方に新たなるグルトリスハイトを。」
 
 「このグルトリスハイトは一代限り、初代ツェントに授けた物ではありません。
 しかし、このグルトリスハイトがあれば、何れ失われた初代ツェントに授けたグルトリスハイトを復活させる事が出来るでしょう。…最期に、もう1つ贈り物を。

 このユルゲンシュミットが愛と幸福で満ちる様、全ての悲しみを癒す優しさを、常に前を向く勇気を、悪意に負けぬ強さを、決して諦めぬ意思を、ユルゲンシュミットを守る一族へ。」

 それは思っても見なかった展開だった。余りの事に唖然とするしかない。そんな私を正気付かせたのはヴィルフリートの声だった。ローゼマインを呼ぶ声だった。
「――エーレンフェスト全員帰寮せよっ!!!!」」
 ローゼマインを抱え、走り出すヴィルフリートの姿を見ながら、私はそう命じた。

 何故…、こうなった…。神々の降臨等、聞いた事もないぞっ!! ローゼマインは無事なのかっ!!?