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第1.5章『非日常の日常、日常の異常』

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東方星写怪異録 第1.5章

―幻想郷―博麗神社―
紅霧異変の解決から数日。
紫から自由行動と言われたしとねは幻想郷を見て回っていた
────が。
守矢神社で東風谷早苗に博麗霊夢の居場所を知らないのかと詰め寄られたり。
妖怪の山で犬走椛に侵入者と言われ追い回されたり。
命蓮寺で聖白蓮から手合わせを強引に迫られたり。
地霊殿では星熊勇儀と伊吹萃香に目をつけられ酒を飲まされそうになり。
迷いの竹林で蓬莱山輝夜と藤原妹紅の喧嘩と称した弾幕ごっこに巻き込まれる始末。
そんなこんなでしとねが神社に戻って来る頃には疲れ果てていた。
しとね「ジン……私ってこんなに巻き込まれやすかったっけ」
ジン「……さあな」
しとねの言葉に素っ気なく応えるジンは睨みつける様に空を仰いでいた。
しとね「どうかしたの?」
ジン「あの星、微々たるものだが……大きくなっている」
そう言われしとねは空に出来た星を見上げる、大きくなっているかは分からなかったが。
しとね「……」
そのまま空をぼんやり眺めていたしとねは突然目の前に現れた本に数秒遅れて慌てふためく。
しとね「う、うわわあああ!?」
ジン「落ち着け」
ジンはそう言いながらしとねを軽く頭突く。
頭突きを食らい無理矢理だが落ち着かせられたしとねは、本を改めて見る。
白に水色の模様が入れられた名前らしきものが書かれていない本、だがしとねにとってよく見るその本の名前を呼ぶ。
しとね「……悠遠の書、どうしてここに?」
しとねの言葉に本は1人でに頁を開き、そこへ文字を浮かばせる。
『ええ、雪から貴方を探すようお願いされたので』
それを見たしとねは首を傾げながらジンの顔を見る。
ジン「悠遠の魔導書よ、向こうで何があった」
『────こちらではまだ、星が落ちてないのですね』
文字が浮かんだ瞬間、しとねとジンは背筋にぞわりとした感覚が這っていくのを感じた。
紫「……しとね、外に戻りなさい」
いつからそこに居たのか……振り返ると紫が立っていた。
ジン「────良いのか?こちらでの異変解決は」
紫「ええ、今回くらいの異変なら内々でも解決出来るわ……それに、今は外の方が荒れてる様子だもの」
そう言うと紫はしとねを幻想郷に招いた時の様にスキマを作り。
紫「行きなさい」
ジン「……」
しとね「ジン、悠遠の書……帰ろうか」
しとねがそう言いと、スキマがゆっくりとしとね達を飲み込み始める。
しとね「紫さん」
紫「何かしら?」
しとねは振り返り、紫に手を振りながら。
しとね「行ってきます」
紫が返事をするよりも先にスキマが閉じる。
紫は空を仰ぎ見て、微笑みながら……呟く。
紫「行ってらっしゃい……貴女を連れてきて良かったわ」

────第1.5章『非日常の日常、日常の異常』────