『真夏日・カナのスクーター・廃工場の灰羽達』 【灰羽連盟】
「妙だと思ったんだよなあ。カナの正面にアキが座ったの」
「アキ、てめえ! うまいことやりやがって!」
「あたたた! 馬鹿野郎、そんなんじゃねーって! ……んだっ!」
ヘッドロックをかけられたアキは必死になってもがく。一方のカナは——
「カナ? どういうことなの?」
「ひどーいカナ!」
カナもさっそく女子に聞きとがめられていた。皆、カナに懐いていた子達だった。
「いや、どうってその……」
「説明して!」
まいったなとばかりにミドリを一瞥する。そのミドリは『初耳だわ』と興味津々に成り行きを見守る気満々で、カナを助けてくれそうにない。
我慢の限界に達したヒョウコが止めに入るまで、この手の話題に敏感な廃工場の灰羽達は、てんやわんやの大騒ぎを繰り広げるのだった。
作品名:『真夏日・カナのスクーター・廃工場の灰羽達』 【灰羽連盟】 作家名:大気杜弥