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ポリジョイ
ポリジョイ
novelistID. 64603
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寿司

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寿司

「ふぃーー、寒いな。」


今年の浦安は記録的な寒さを観測している。トイレに行くだけでも凍えそうである。
ノブはポケットのカイロで、手の感覚をとりもどしていた。

教室に入ると、教壇前で春巻が気持ちよさそうによだれを垂らして寝ている。
家は寒すぎてまともに眠れないらしい。
そのため、授業中は教室で、放課後は保健室で睡眠をとっている。


「先生もうすぐ授業始まっちゃうよ。」
「ちょーーー。」


この調子だと、次の時間もあかねちゃんが授業をすることになりそうだ。可哀想に。






「小鉄、お前そんな格好で寒くないのかよ。」


十二月に入り、冬が本格的になろうとする中、海パン一丁の少年がいた。
彼を見ていると、こちらが風邪をひきそうになる。
 

「何言ってんだよノブ。この前夏が終わったばっかじゃねえか。」


彼にそう言われるとそんな気がしてしまう。
しかし校庭を見ると、この前までは真っ赤な葉をつけていた木々が、
今では枯葉だらけでその枯葉すら風に飛ばされてしまっている。


 「お前こそ何言ってんだよ。風邪ひくぞ。」


彼との付き合いは長いものになるが、未だに彼の思考がよく分からない。
この前は、凍りかけの水の中を泳いでいた。







 「おい、ノブ。放課後遊ぼうぜー。」
 「ゴメン、今日塾あるんだ。また明日な。」
 「何だよ、つまんねぇな。せっかく帰りに、野球しようと思ったのによ。」

 

今頃皆は空き地で野球か。涙が新しい梅星球を開発したとか何とか言っていたので、早速披露しているだろう。
 

「はあ・・・」


白い息が消えていく。
母に言われたので、塾に行きだしたものの、勉強しようがしまいが
テストの結果は七十八点なのであまり必要性が感じられない。


それなら、遊んでいた方が余程良いのではないか。
そんなことを延々考えていたら、塾の時間が迫っていることに気が付いた。
 

「やべっ。」

 





「上田君、またねー。」
 

塾が終わる頃には辺りは真っ暗になっていた。
ここから家まで、二十分。長い道のりである。
小鉄なら何か面白い遊びでもしながら帰宅するのだろうか。


例えば、少し前にした地面に着いたらサメに食われるゲーム。
途中でゲームオーバーになったが、なかなか楽しかった。
たしか、あかねちゃんが松五郎王国の動物に噛まれて救急搬送されたと聞いた気がする。







自宅近くに来たとき、少し上着が濡れていることに気が付き、その場に止まった。
 

「雪だ・・・・・」


本格的な冬の訪れを告げる雪。
ふと、小鉄の姿が思い浮かんだ。
彼はこれでも、まだ夏が終わったばかりと言い、海パン姿で学校に来るのだろうか。



そう思うと、なぜだろう。ふと笑みがこぼれた。
作品名:寿司 作家名:ポリジョイ