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終りなき夜に生まれつく

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私は3RTされたら、キラヘルの「結婚しよう」「寝言は寝て言え」で始まる小説を書きます(o・ω・o)
https://shindanmaker.com/321047


「ね~キラーTくん~結婚しよ~」
「寝言は寝て言え」

最近こいつが酔っぱらっている時の常套句だった。
酔って、ぐだぐだとくだを巻いて、最後は何だかそんなことを言い出すのだった。
「ひどい。君やっぱり僕のこと嫌いなんだな…」
「別に嫌いじゃねえよ。性格にひとつも良いとこなしでもな」
近頃この体は不穏な雰囲気だった。外部世界に対するストレス反応のせいで免疫力が落ちていて、しわ寄せは色んなところに表れていた。
分泌系、神経系、その他体の各機能の不調、結果細菌やウイルスに侵入されやすくなり、免疫細胞達もずっと忙しい。
例えばNKの奴なんかは、元々ストレスに精神状態を左右されやすいのだが、免疫系に司令を下すこいつにも影響は少しづつ出ていた。実際的な忙しさで参っているというより、ストレスそれ自体によって心と体に影響が出ているのだ。
目の下の隈は日増しに濃くなって、ヘラヘラといつでも余裕があるところが取り柄な男が、今日部下に怒鳴っているのを聞いた。

「僕は疲れたよ…もうね、君と結婚して引退したい。養って」
「断る」
細胞の役割は引退なんざ出来ないと分かって言ってる冗談なのだから、たまには乗ってやってもいい気もするのだが、俺はうんと言えなかった。
「なあ、お前他の奴と飲みに来ても同じこと言ってんのか」
「君にしか言わない」
やっぱり疲れているんだろう。うとうとと船を漕ぎ出しながら、ヘルパーTは答えた。
「君にしか言わないよ…、僕の次に高給取りだ、班長。あと尻に敷かれてくれそう」
「ぜってえお前とはごめんだ」

眠ってしまいそうになる肩を叩いて起こす。
「起きろ。勘定にするぞ」
キラーTくん、とヘルパーTがその手を掴んだ。
「ヘルパーT…?」
顔を俯かせたままで、ぎゅっと手に力がこもる。
「もしかして僕は、このままでいたなら正常な判断が出来なくなるのか?君達に誤った指示を、」
「心配するなよ。そうはならない為に制御性Tだっているんだ」
「僕は大丈夫かな……?」
本当は、薄い体を今すぐにでも抱きしめて、何の憂いも触れないようにと腕の中に閉じ込めて安心させてやりたかった。
結婚でも何でもしてやるから、全部もうやめちまえ。
でも俺達はただの友人同士で、免疫細胞だった。

「俺達はお前の判断を信じる。体を守る為に必要ならな」
「ああそうだよね。僕らはこの世界の為にいるんだ。僕達免疫細胞が世界を守らなければ。そうでしょ、ねえ、君はついて来てくれるよね…?」
縋るように見つめてくる相手に、俺はうなずいてやることしか出来なかった。
作品名:終りなき夜に生まれつく 作家名:あお