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兎夜 るびい
兎夜 るびい
novelistID. 65673
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幻想郷の傍観者 1

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〈章=Prologue 少女の物語の終焉〉
 黒い炎が、世界を埋め尽くす。嗤う魔王、跋扈する怪物、倒れ伏す人々。もはや、生きた「人」は、涙を流し魔王を睨みつける少女以外にはいない。依然として嗤い続ける魔王に、少女は慟哭する。そして、吼える。魔王は最後まで抗う少女を賞賛し、その力を無感情に、振り下ろした。
「諦めるものか!私が、この世界を!何を犠牲にしようとも、絶対に救ってみせる!」
―――その日、「少女」の物語は、終わった。
〈章=Episode‐1 幻想入り〉
「あ〜〜…暇ね、魔理沙」
「ああ、否定できないな、霊夢…」
「平和が続くのは良いことですよ、二人とも」
「馬鹿言うんじゃないわよ。そりゃあ守矢神社は参拝者も多いから楽でしょうけどね、こっちは異変がないと首謀者から迷惑料もふんだくれないから暮らしに直結するの。はあーあ、何か異変起きないかなあ」
「いや、いくら貧乏でも異変を望むなよ」
 ここ最近、幻想郷は異常に平和だった。妖怪が騒ぎを起こすこともなく、妙な奴が幻想入りすることもなく。よって霊夢はもう一文無しなのである。野草を食べて命を繋いでいる状況だ。
「ああ、そうだわ、魔理沙の家に泊まればいいのよ」
「断固拒否する。お前めっちゃ食うじゃねえか」
「だって守矢神社に借り作りたくないもん」
「お前なあ…」
 早苗は先程帰ったが、いなくなった途端にひどい言い草だ。
「あー、紫が誰か連れてきたりしないかなー」
「おい止めてくれ、それ以上は現実になりそうだ」
 その時、霊夢の目が、しっかりと「異変」を捉えた。
「ねえねえ魔理沙、言ってみるものね、ほらほら」
「あー、本当に来ちまった…。しゃあない、霊夢、見に行くぞ。落っこちたらことだ」
 上空に空いた小さな穴が、幻想入りを暗示する。
「ねえ魔理沙、これ、いつもと違うわよね」
「…スキマ、じゃないよな?これ」
 紫が幻想入りさせた時と違い、穴の中は黒く、そして誰も出て来ない。
「うわっ人いるし。ごめん、ちょっと場所ずらしてからこっちで準備してもっかい開くね。荷物の最終確認しといて」
 現れたのは、小柄というよりは幼いという方が正しい少女だった。というのも、背が低い。十代前半くらいだ。腰まで伸びたふわふわした黒髪。海のような青い瞳。年の割にはふくよかな胸元。美少女である。彼女は手を一振りして、穴を閉じてしまった。
「あー、この世界の人?ごめんなさい、ちょっとお邪魔させていただきますね。ああ、あまり気に留めないで下さい、その方が良いんですよ、お互いにね。それでは」
 一方的に言い残し、少女は人里の端の方まで飛んでいく。
「…何で最初から飛べるんだ?」
「それより、追いかけるわよ、魔理沙!」
「お、おう」
 魔理沙は、キラキラした霊夢に若干以上に引いていた。とはいえ、正論には変わりないので、霊夢についていく。
「うん、ここなら端っこだし、平らだし、ちょうどいいかな。よし」
 少女が手を振り下ろし、そして持ち上げるような動きをする。つぎの瞬間、地鳴りと共に洋館と言うのが相応しいような屋敷が現れた。これには二人とも目を点にするより他ない。
「…どんな能力よ、チートでしょ…」
「で、お二人さんは何の御用ですか?気に留めないで下さい、と伝えたはずですが」
「!?」
 そこまで近づいていた訳ではないのに、振り向きもせずに少女に語り掛けられる。脅威だ。この少女は脅威になる。
「あー、私はかかる火の粉は振り払う主義ですけどね、進んで敵対する気はないので心配無用ですよ。私と敵対したいなら話は別ですが」
 心を読まれたような言葉に、魔理沙は体制を崩し、箒から落下する。
「しまっ…」
「はあ、これしきで動揺なんて、心が弱いですねえ。その点、貴方…霊夢さん、でしたっけ?肝が座ってます。それに、お金に貪欲であっても思考は放棄してない。そうじゃなきゃ、落ちていく仲間に目もくれないなんてありませんから」
「敵対する気はないんでしょ?その気ならわざわざ魔理沙を助けないしね」
「おや、私が試されてましたか」
 魔理沙は、冷静な霊夢の様子に目を剝く。異変への対応力は何時も霊夢の方が上手だ。
「それでは、改めて一家を代表してご挨拶させてもらいます」
 少女が手を振ると、また穴が生まれ、中からたくさんの人が出て来た。少年少女、先程の少女と合わせ七人。
「宮島家当主、宮島 美里愛(みやじま みりあ)と申します。美里愛とお呼び下さい。とはいえ、普段は人里で暮らしていくつもりですので、人里の住民の一人として扱って下さい」
 そうして、美里愛達は屋敷の方へ飛んでいった。
「なーんか、やばいのが来たわねー」
「軽いな、お前…」