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冬の雨が降る前夜

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「ノル、ノールー!」
二度目に呼んだ声は、まるで打ち捨てられた子犬の如くであったが、ノルウェーは無視をした。
「ノル、ノル」
それでも、デンマークは諦めなかった。何度も呼んで、ノルウェーの手首を掴むことに成功した。それから、ゆっくりと振り向いたノルウェーの顔にそっと触れる。白い頬が、赤く腫れていた。痛々しい。
「ノル、なじょして?」
「……さっきも話しだ。スヴェリエとは意見が合わなかっだ、それだげだ」
「けど……」
殴りあう必要があったのか。その場にいなかったデンマークには分からない。
けれど、ノルウェーもスウェーデンも、手が早い性質ではない。そんな二人が殴りあわなくてはいけないような理由はなんだったのだろうか。それは、何度聞いてもノルウェーは答えなかった。
「ノル、あんまりこういう事すんなぁ?な?」
ノルウェーは思わず眉を顰めた。
デンマークがこんなんだから、ノルウェーはデンマークに話せないことが増えていく。
最初はこの広い海を渡っていく目的は皆、同じだった。しかし、いつしか目的は変わり、スウェーデンは領土よりも通商に重きを置くようになっていた。「もう、お前達とは行げね」と言ったスウェーデンの目が明るくなかったことに気付いたノルウェーはもう希望も言葉も捨てて、スウェーデンを殴った。怒りではなく、やるせなさから。
そんなノルウェーの複雑な胸中をスウェーデンは分かっていたのだろう。ノルウェーが罪悪感から「お前も殴れ。それであいこだ」という勝手な要求に黙って応じてくれた。
「……あんこ」
「んー?」
ノルウェーは、デンマークの右肩に触れた。爪をたてて、そのまま近くに引き寄せる。デンマークの青い瞳が間近に見えた。
スウェーデンが、「ここを去る」と告げたらきっとこの瞳は濡れるのだろう。冬に降る雨のように、冷たく。
そう思ったら、どうにもノルウェーの心は爛れるのだ。
スウェーデンを殴った手も、ひどく痛んでいる気がして。ノルウェーは、瞳をきつく閉じた。
(冬の雨は、……寒い。冷たい。好かん)
爛れた心で、ひどく痛む手で、デンマークを抱き締めた。
今どんな言葉をかけても、デンマークはきっと泣く。そしたらもうこうするしかできなくて、ノルウェーは己の無力を呪った。
作品名:冬の雨が降る前夜 作家名:はるひと