#繋いだ手.
ep1.
「待ってよ!岩ちゃん!叶羽!」
桜が満開の通学路
新しい制服に身を包んで
入学式へ向かう。
「遅せぇよ!クソ川!」
「徹、前髪に桜の花びら引っかかってる!」
及川徹、岩泉一、そして私早川叶羽。
小学校の頃から幼馴染の私たちは
小中と同じ学校で過ごし
高校までも同じ学校へと進学した。
徹と一はちゃんとバレーって目的があったけど
私が選んだ理由はもっと不純なもの。
「叶羽、ネクタイ曲がってんぞ。」
一が私のネクタイを正してくれる。
一が居たから
この学校を選んだ。
そう、私はずっと一が好き。
中学の頃、女に疎い一に彼女が出来たと
聞いた時相当なショックを受けた。
そして一への恋心に気づいてしまった。
「ねぇ、ちょっと桜の花びら取れた?」
呑気に前髪を撫でる徹は
そんなこと気付きもしない。
また3人で同じ学校へ通えることを
素直に喜んでいるようだった。
「今日から高校生かぁ。」
私がそう呟くと2人は笑顔でこちらを見た。
「「3年間よろしく!!」」
声を揃えて言うのだった。