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On s'en va ~さぁ、行こう!~ 前編

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4.『Que veux-tu?』(どうしろというんだ?)


「で、何の用事でお前は私の部屋に来ているのだ?」
双児宮。パソコンで株の売買に精を出していたサガは、突然訪れた天蠍宮の守護者を咎めるように問う。
ミロはサガのベッドの上に座ると、
「サガは先週からずっと聖域にいるよな」
「そうだな。ロンドンから戻って以来、聖域で仕事をしているが」
サガはモニターから目を離さない。偽教皇時代の資金源がカジノで一山当てる事と、株の売買や先行投資だったのだが、今現在も小遣い稼ぎと聖域の経費稼ぎのため株のチェックは欠かさない。
神話の時代から続く神の代理人のやる事では、絶対に、ない。
ミロはサガの作業など気にしない様子で、
「カミュがどこに行ったか知っているか?」
「どこに行ったかは知らないが、シュラと出かけた様子だぞ…あ、メリルリンチ株がまた上がっているな…。しかし保険業界もこの先どうなるか……」
カチカチと、マウスをクリックする音が響く。
完全にないがしろにされた形のミロであったが、親友であるカミュがシュラと出かけたと知ると目の色を変えた。
「え?どうして!何でカミュとシュラが出かけるんだよ!あいつらそんなに仲よかったかよ!」
「よく一緒に飲みに行っているようだが?」
サガの言葉は投げやりである。ここでぎゃーぎゃー騒ぐな。考えがまとまらない。
しかしそんなサガの内心を知らないミロは、さらに騒ぐ。
「シュラもカミュに生活費借りるつもりなんかよ!確かにカミュは弟子が二人いるからオレらよりも給料いいけどさ!」
枕を抱え(もちろんその枕はサガの物だ)、スカーレットニードルで伸びた爪を何度も何度も突き刺す。
その枕、ドイツのピローマイスターがゴムから手作りした安眠枕で、お値段は日本円にして一万五千円なり。
やや不眠の気があるサガが奮発して購入したもので買う時はかなり勇気が要ったが、使ってみるとこれが素晴らしい。毎晩ぐっすり眠れるようになった。
その大事な枕に、蠍座の星の数だけ穴が増える、増えていく。
神の化身と呼ばれたサガも、とうとう我慢できなくなった。
パソコンデスクから巨大な小宇宙が立ち上がる。
ミロが気付いた時には既に遅し。サガの小宇宙は爆発寸前であった。
「いい加減にしろーーーッ!!!ギャラクシアンエクスプロージョン!!」

……蠍座のミロ、天蠍宮に強制送還。