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Una lettera di amore

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腹が減っているようだ。安楽いすにもたれてゆれている。虫がひじ掛けに止まって、首をかしげてまた飛んだ。
かわいいフェリシアーノ。お前が摘んだラベンダーを具合よく干したこと、一房やること、お前がよこしたキクの鉢を試してみること・・・。
ロヴィーノのサインには、グラスが水滴で輪を入れた。放っておかれたペンはよけい使い物にならない。


ところでもうじき、アカシアの頃合いにならあな。肥やしてやらにゃ。風が言うので。
「知ってる」
「なんや言うた」
スペインが割って入った。おれはデッキでゆれている。
たぶんスペインがレースの向こうから、迎えに来ている、けれど、庭いじりを考える。風だって、遠い畑の白い布にそよいでいる。
「もう、ええわ、ただ着替えんと。来てまうで」
「行くなんていってない」
「わがままばっかやん自分」
刈り穂のような、スペインのにおいをかいだら、おれは言うことをきくかも分からないのに。
スリッパは黙っている。


「お前のせい」
「おれが何したんやら、いらんこと言わんと」
ほとほと・・・。ああ、陽が。
「あいつをあきらめた。おれだって、」
とてもあたたかい。ここちがいい。愛されているよう。
「オーストリアのとこにいたらよかった、あいつと替わって、」
このまま昼寝をしてもいい。
「そうしたら、みんなよかったろ」
トマトが甘くなるな。フェリシアーノが喜ぶ。


「いらんこと・・・」
スペインがこうやって、泣いたところで、どうして?だって、スペインが悪いから。このまま日陰にすっこんで、おれがいなくなったと言って、あいつに慰めてもらえよ。
おれは野良になって、どこか日のいい地方でもって、食べて、寝て、たまににゃあと鳴いてみたりして、そりゃあねずみはうまくやれないかもしれない。なんて。
おれは、もう、ほんとうにいやだった。かといって、あの暗い屋敷でどれだけ、スペインの名をつづるだろうと思うことも。




作品名:Una lettera di amore 作家名:井伊