日常ワンカット
デスマスク外出編
デスマスクが、先週からアメリカに行っているという。
休暇届は出ているし、有給も十分に残っているので、特に問題はないのだが……。
「アメリカNYのイタリアン・マフィアの応援だそうです。最近チャイニーズ・マフィアがうるさいので、イタリアン・マフィアがチャイニーズに抗争を仕掛ける心づもりらしいのですけど」
教皇の間に書類を提出にきたアフロディーテは、アイオロスからデスマスクの話を振られると、事務的な口調で応じた。
「そこで、シシリアン・マフィアのボスが、デスマスクに応援を依頼したらしいですよ。今のNYのイタリア系のボスは、シシリアンのボスと幼馴染みらしいですから」
まるで芸能リポーターのような口ぶりだ。
思わず書類仕事の手が止まるアイオロス。精悍な男らしい顔が、ハニワになっている。
サガはデスマスクが時たまマフィアの抗争の手伝いに出向いていることを知っているので、驚きもせずにカタカタとパソコンを操作している。
「……デスマスクは、そんな事をやっていたのか……」
ようやく口がきけるようになたのか、アイオロスはそれだけ呟く。
アフロディーテは困ったように笑うと、
「聖闘士としての力は一切使わずに、銃で『ドンパチ』やるそうですよ」
「……お前の口から『ドンパチ』などという単語が出るのも意外だったな」
どうもアイオロスには、年中組のことが解らない。