楽しい羊一家 その2
ムウ様の日常編
・7:30 シオン出勤
朝食を終え、居間で新聞を読んでいたシオンが教皇の法衣に袖を通し、支度を始める。
法衣を食事の際に脱いでいるのは、ソースや醤油、ケチャップなどの撥ね染みを防ぐためである。
どんなに注意していても、知らぬ間に付着していることがあるので。
「では行ってくるぞ」
教皇のマスクを右脇に抱え、シオンご出勤。
玄関でそれを見送ったムウと貴鬼は、お互いに顔を見合わせる。
「ねぇ、ムウ様。今日は誰がお寝坊でしょうね?」
「そうですねぇ。昨日アフロディーテが夜遅く戻ってきたので、彼が一番怪しいと思いますけれど、でも双魚宮は一番最後ですからねぇ」
シオンが出勤のため各宮を通過する際、宮の守護者がまだ眠っていると、シオンが『親切』に起こしてくれるのだ。
ただ、その起こし方が少々『親切』でないだけだ。
「皆シオン様のスターダストレボリューションを受けたくないので、必死で眠気と戦っている頃でしょうねぇ」
ムウの物言いは柔らかい。
先日だったか。アイオロスが久々に寝坊をしてしまい、朝っぱらから牡羊座流星群の観測に成功したようである。
……目の周りにできた青痣が、少々痛々しかったが。
「聖闘士に同じ技が通用しないのは、もはや常識ですが……」
どういうわけか、皆シオンの星屑だけは避けられないのである。
作品名:楽しい羊一家 その2 作家名:あまみ