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誰にも君を渡さない【番外編】

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誰にも君を渡さない 【番外編】



特使として連邦から派遣されたアムロが数人の連邦高官と共にスウィート・ウォーターへと到着した。

「難民収容用に作ったコロニーにしては整備されておりますな」
一人の高官が宇宙港の窓からコロニー内を見て呟く。
「そうですな、まぁ見せかけだけでしょうがね」
別の高官が鼻で笑いながら答える。
「ふん、それもそうか…」
「我々の援助無しには生活など出来まい、その内我々に援助の申し入れをしてくるだろう」
高官達のそんな会話を聞きながら、アムロは内心大きな溜め息を吐く。
『相変わらずコイツらはスペースノイドを見下して…シャアが見通しの立たない様なコロニーを拠点にする訳がないだろうが』
宙港を出ると、ネオ・ジオンの迎えの車が待っていた。アムロ達はそれに乗り込みネオ・ジオン本部へと向かう。


到着したアムロ達を、シャアが側近達と共に総帥府で迎え入れる。
「ようこそスウィート・ウォーターへ」
高官達と握手を交わし、最後にアムロと握手を交わす。
じっと瞳を見つめてくるシャアに動揺して、思わず手を引くと、もう一度シャアに強く握られる。
「…っ…」
動揺するアムロに、シャアは意味深な笑みを浮かべると、そっと手を離して何事も無かった様に高官達へ身体を向けた。
『な!何なんだよ!もう』
アムロは少し鼓動の早くなった心臓を押さえながら、歩き始めた高官達の後ろに続いて歩き始める。その首筋は薄っすらと赤く染まっていた。

歓迎の会食も終わり、用意された部屋に通されたアムロは、ようやく一人になってホッと息をつく。
「疲れた…」
制服の襟を緩め、ソファへと腰を下ろす。
「シャアはよくこんな肩の凝る事やってられるな…」
「私もパイロットだけをやっていたいのだがね」
突然後ろから掛けられた声に思わず振り返ると、隣室から繋がるドアから現れたらしいシャアがソファの後ろに立っていた。
「シャア⁉︎気配を消して近づくなよ!」
「君ならば直ぐに気付くと思ったのだが?」
「何度も言うけどニュータイプは超能力者じゃない!殺気も無いのに気付くかよ!」
「ははは」
笑いながらシャアがアムロの隣へと座る。
「久しぶりだな、アムロ。体調の方はどうだ?怪我はもう完治したか?」
あのアクシズショックの日、降下を始めたアクシズに取り付きνガンダムで押し返えそうとバーニアを全開にした。
激しく揺れるコックピットに全身を打ち付け、摩擦熱で高熱に晒された身体に火傷を負った。
打撲や骨折、火傷に裂傷。そして精神障害。
まさに満身創痍の状態だったアムロも、あれから半年が経ち、ようやく回復した。
「もう大丈夫だ。まぁ、まだ落ちた筋肉は元どおりとはいかないが、日常生活に支障は無い」
「そうか、それならば良かった」
ホッと息をつくシャアに、アムロがクスリと笑う。
「心配かけたな」
「いや、それよりも改めて言わせてくれ」
シャアは真っ直ぐにアムロを見つめ、姿勢を正す。
「よく来てくれた。君を心から歓迎する」
握手を求めるシャアにアムロが応える。
「ああ、俺にどこまで出来るか分からないが、和平存続の為、全力を尽くすよ」
「アムロ大尉、よろしく頼む」
二人は視線を合わせ、互いの瞳を見つめ合う。
そして、フッと笑みを浮かべる。
「ところで俺は今後どこで生活するんだ?」
「暫くはこの部屋を使って貰うが、連邦の高官どもを追い返したら君には私の屋敷に移動して貰う」
「は?軍の官舎とかは無いのか?」
「もちろん有るが、君をそこに入れる訳にはいかない」
「何故だ?他にも連邦からの監査役はいるだろう?彼らと同じ官舎でいい」
「残念ながらそうもいかない」
「どう言う事だ?」
首を傾げるアムロに、シャアが小さく溜め息を吐く。
「なんだよ」
「君は自分の事がよく分かっていないな」
「自分の事って…ああ、そうか。俺はジオンの人間の恨みを買っているからな。他の監査官達の身の安全の為にも隔離する必要があるわけか」
「そう言う事だ。すまないな、人の心と言うのはそう簡単には割り切れない」
「そりゃそうだ。和平条約を結んだからって人の心に憎悪は残る。恨まれても仕方がない」
「すまんな」
「貴方が謝る事じゃない」
優しい笑みを浮かべるアムロを、シャアがそっと抱き締める。
「シャ、シャア?」
「ようやく君に手を取ってもらえた…」
アムロの首筋に顔を埋めてシャアが呟く。
「でも、前にも言った通り、貴方がその志しを戦争以外で貫いてくれたらって条件付きだぞ。もしも、またあんな馬鹿な真似をするようなら、今度こそ俺は貴方の息の根を止める」
真っ直ぐなアムロの言葉に、シャアがコクリと頷く。
「ああ、分かっている」
シャアはアムロから身体を離すと、アムロの琥珀色の瞳を見つめる。
「君の期待に応えられる様頑張ろう」
「ああ、そうしてくれ。出来る事なら貴方を手に掛けたくはない」
「…もしも私を殺したなら…君はブライトの元に戻るのか?」
シャアの問いにアムロが小さく笑う。
「そんな訳ないだろ。ちゃんとララァの元まで俺が連れて行ってやるよ」
それは暗に、シャアを殺したら自分も死ぬと言っている。シャアはアムロのその覚悟と想いに胸が熱くなる。
「…そうか…」
それ以上の言葉が紡ぎ出せず、シャアはアムロの両腕を掴んだまま唇を噛みしめ涙を堪える。
「泣くなよ」
「泣いてなどいない」
「はいはい。大体さぁ、その覚悟がなきゃ此処まで来ないよ。貴方にはそれだけの価値がある。俺は貴方に懸けてるんだ。俺の期待を裏切らないでくれよ?」
トンっとシャアの胸を叩くアムロにシャアが笑顔で応える。
「ああ、任せてくれ」
「頼むよ」
「しかしそれにはアムロ、君の協力が必要だ」
「え?あ、ああ。俺に出来る事なら何でも…」
「何でも?」
少し含みのある言い方をするシャアに、アムロが顔を上げる。
すると、その顎を掴んでシャアは自身の唇をアムロのそれに重ねる。
「ん!んんんっ」
「君の期待に応えられる様に頑張るから、君からはその褒美が欲しいな」
「褒美って…」
シャアはアムロをソファに横たえ、上から覆い被さる。
「君に私を癒して欲しい」
首筋に唇を這わせながら耳元で囁く。
その美声と熱い吐息を感じてアムロはビクリと身体を震わせる。
「俺は男だぞ?」
「男は初めてか?」
「……それなりに軍人生活が長いんでね…」
経験がある事を匂わせるアムロの言葉に、シャアがピタリと動きを止める。
「それは残念だ。君の初めては私が貰いたかったのだがな…」
そう言いながらアムロの耳朶を強く噛む。
「痛っ…!」
そこから伝わる苛立ちと嫉妬感にアムロがクスリと笑う。
「案外嫉妬深いんだな」
「君については…そうだな…。言っただろう?誰にも君を渡したくないと…」
アムロの身体に手を這わせながら制服を脱がしていく。
その行為を、アムロも咎める事なく受け入れる。
「今後は…貴方だけにしておくよ…」
「そうしてくれ…」
二人は互いに視線を合わせると、どちらとも無く顔を寄せ合い唇を重ねる。
シャアの背中に手を回し、きつく抱きしめながらアムロも思う。


『俺も…誰にも貴方を渡さないよ…』


end

ありがとうございました!