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Heterocaryon/Prototype

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ㅤ人類の楽園、仮想空間世界・メタヴァース。そこでは人間の不老不死が完全に実現しているという。
 アタシはその仮想空間で造られ、そして棄てられた。だがアタシは目覚めた。自らの任務を最後まできっちりやり通す為に。この世界の本当の姿を見る為に。
 ネメシスの中心、データの墓場のような所でメタヴァースを管理する端末を発見したアタシは、何を血迷ったのかその端末に発生していたエラーを見るなりこの世界の終焉を察し、それを破壊した。それ自体がエラーだった。いや、厳密にはエラーではない、ここまでの話は全てある者によって仕組まれた罠だった。
 端末を破壊ししばらく途方に暮れていたが、やがて相棒のES1(イーエスワン)、ブリランテの声がアタシを導いてくれた。
ㅤ止まらなくなった涙を拭いながら、ボロボロに壊れて動かなくなった端末に爆炎を浴びせる。するとどうだろう、たちまち時空に穴が開いてしまったではないか。
 次元ゲートと呼ばれるそれは、メタヴァースとは全く異なる世界に繋がっていた。
ㅤそこにいたのは自称案内人のペストマスクの男だった。曰くアタシはエリスネメシスというネメシスのリーダー格に勝手に改修され、「メインフレームの中枢を破壊する」という新たな使命を密かにインプットされていたとのこと。つまりそれはアタシがそのエリスネメシスに利用され、たかだか世界征服のために勘違いするように仕込まれて踊らされていたということだ。
ㅤ一気に心が苦しくなった。何かしたわけでもないのに、こんなに悲しい思いをしなければならないのか。辛くて何も考えられなかった。もう誰とも関わりたくなんかなかった。
 なのに真面目なブリランテは、こんなどうしようもないバカを救った。ずっと一緒にいてくれる、ずっと覚えていてくれる、そう言った。正直嬉しかった。こうやって言ってくれるのはコイツくらいしか頭に思い浮かばない。
 その時アタシは姉妹機の絆というものを感じた。いや、「本物の姉妹」のように一瞬だけでも錯覚した。
作品名:Heterocaryon/Prototype 作家名:神崎 りね