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敵中横断二九六千光年4 南アラブの羊

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『なぜだ。将軍。百対一でどうして敗ける。そのナントカにハドーホーとやらでまとめてドーンと吹き飛ばされたのか。メーオーセーとかいう星ごと……それなら話がわからないこともないがな。だがしかし、それなら貴様が今そこで生きてるはずもないことだよな』

「はい、まあ……」

『わからん。どうして敵に敗けて、貴様はそこで生きてるんだ。確か事前の分析では、「そのナントカはハドーホーをおそらく使えないだろう。こちらは〈反射衛星砲〉がある。だから勝てる」と聞いたように思うのだが』

「ええ、まあ……」

『将軍、ならば、どうして貴様は敗けたというのだ?』

「それは……」

『もしもーし』とまた言った。『シュルツ将軍、どうして、わたしだけがしゃべってるのだ。君は口が無くなったのか。〈反射衛星砲〉があり、百隻もの船があれば、そのナントカに敗けるはずがないのになぜ敗けたのだ。そこのところをわかるようにちゃんと説明してくれんかね。わたし自身が『コレコレこういうわけでした』と総統閣下にちゃんと説明ができるようにだ』

「それは……」

と言った。しかしその先が続けられない。

『将軍』とベムラー。『貴様、戦力のほとんどを戦わずして逃がしたそうだな』

「いえ、それは……」

『言い訳は聞かん。だから敗けた。全力で行けば勝てる敵とギリギリでやって結果敗けた。五分(ごぶ)と五分で勝負すれば五分で敗けるに決まっとろうが。そして結局、基地を丸ごと失うことになったわけだ。バカか、貴様? 一体何を考えてこんなことをやらかしたのか、そこのところを聞いてやるから説明しろと言っとるのだ』

「それは、〈ヤマト〉を星に誘うために……」

『言い訳をするな』とまた言った。『シュルツ、貴様は「戦力を惜しむ」という、戦(いくさ)において最もやってはならぬとされぬ過ちを犯した。敗けて当然。そして基地まで失いながら、そこでオメオメと生きているのだ。違うというのか、ええ、どうなのだ』

「そ、それは……」シュルツは言った。言うしかなかった。「その通りでございます……」

『フン。貴様のような男が、総統閣下じきじきの重要な命を任されていたとは、なんたる不名誉な。貴様は大ガミラスのツラ汚しだ。総統閣下の名前に傷を付けたのだ。その不義不忠、万死に値するものと知るがいい』

何もそこまで言わんでも、と、人が聞いたら思いそうな言葉であるが、ベムラーはこれでもまだまだ言い足りないようであった。ただひたすら言いたい放題、シュルツに悪罵を浴びせ続ける。

地球人の見る〈映画〉というものを一本見れるくらいの時間が流れた。いや、そこまではいかなかったかもしれないが、シュルツにとってはそれの特に長いやつを見るくらいに感じるほどの時間が流れた。その間、ただのひとこともなく、首をすくめて耐えるだけだ。

『わたし個人からは以上だ』と、ベムラーはとうとう言った。『だが、親衛隊長としては、まだ貴様に言いたいことが残っている』

シュルツは気が遠くなり、意識を失いかけるのを覚えた。

『しかし、まあいい。今日のところは忘れてやろう。代わりに貴様に、総統閣下のお言葉を伝える』

言ってベムラーは言葉を区切り、そして短く付け加えた。

『「戦って死ね」だ』