先生の言葉 全集
110.首狩り魔
「スパーン!」
「スパーンッ!!」
「スッパーンッ!!!」
……はぁはぁ。あの、す、少し、休みませんか。そんなに連戦すると、後が持ちませ……。
「スパーン!」
……ちょ、ちょっと待ってください。いや、確かにここに私は常にいますが、こんなにめちゃめちゃにやられるなんて聞いていませんよ。せめてもう少しゆっくりやりましょう。人生はまだまだ長いです。ここは一刻を争う状況じゃ……。
「スパーンッ!!」
……いやいや、ぜんぜん言うことを聞いてくれませんね、この方。ひたすらに天井に張り付いて、様子を見ている。で、首がくっついたらまた首を切り離してくる。それの繰り返しじゃないですか。恐らく修行をしたいのでしょうが、こりゃあ修行じゃありません。虐殺で……。
「スッパーンッ!!!」
……さすがにいい加減にしてくださいな。まあ、私は不死族ですから、首はすぐにくっつくのでいいんですけどね。こう何回も連続でクリティカルヒットを与えられたら、さすがにおかしくなってしまいそうです。お見受けする限りあなたはニンジャの方だと思いますが、なんでこんなに首をはねることにこだわるのですか。
「スパーーン!!!!」
……ええ? ニンジャだから首をはねるのは当たり前だろう? そりゃあ、そうですけど。ここまでやるのは異常です。これはもういじめですよ。少し休みがてら、ここまでする理由を教えてくださいな。
……はあ。ようやく一息つくことができました。私もモンスター歴はそこそこ長いですが、ここまで首と胴体を切り離された日もなかなかありませんよ。それで、いったいどういった理由でこんなに首をはねてるのですか。あなたは殺人鬼かサイコパスか何かで、人を殺める代わりに不死族の私で楽しんでいるのですか? いい加減に説明をしてください。話の内容次第ではまた首をはねられてもいいですが、そういった説明をちゃんとしてくれないのなら、もうこの部屋を出入り禁止になってもらいますよ。
ええ? こないだ酒場で飲んでいたとき、何回連続でクリティカルヒットを出せるか仲間内で賭けることになった? それでここ最近、好記録を出そうと躍起になっているのだが、なかなかうまくいかない。同じ敵と連続して戦うことができれば、楽に記録を出せると思ったんであんたを相手にすることにした?
まあ、理由があるのならいいのですが、それを本当に実行しようとするあたり、やっぱり殺人鬼とあんまり変わらない気がするなあ。