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先生の言葉 全集

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106.運の種類



 運がなさすぎる?

 いきなり部屋に入ってきたと思ったら唐突に何を言い出すんですか。運がない? それはあなたがたの運がないということですか、6人でパーティを組んでいるというのに? 

 だいたい、あなたがたはもうリボンを取得して下層に行く権利も持っているじゃないですか。それは、ちゃんとパーティとして機能しているという証ですよ。仮に皆さんに運がなかったとしても、それを補うだけの能力は持っている、ということになるんじゃないかと思いますけどねえ。と、ここまで前置きした上でお伺いしますが、どういう点で運がないとお考えなのですか。

 ええ。9階や10階を散々探索しているのだけど、あの回転する刃が全然出ない? なるほど、そういうことですか。

 まあ、確かにそれはちょっと運がないと言えるかもしれませんね。「ぶき」や君主用のよろいを探し求めているのならともかく、あの刃はそこそこお目にかかる品のような気がしますしね。

 そういう意味では皆さんのおっしゃるとおりかもしれません。でも、少し見方を変えてみましょうよ。

 その刃を手に入れられる可能性がある立場になるまで、皆さんは来れたわけじゃないですか。前衛は首をはねられる可能性を交わし続け、体力の低い後衛もどうにか生き延び続けた。盗賊の方だって、目的のものが出ないと嘆ける程度には、たくさんの宝箱のわなを解除し続けたということですよね。

 もちろん、この迷宮でいろいろなことがあったでしょう。前衛は体を張った結果、モンスターの攻撃に倒れることもあったでしょうし、後衛もブレスや魔法攻撃に何度もさらされたでしょう。盗賊の方も宝箱のわなを思い切り引っ掛けた日もあったでしょう。でも、それで悲惨な結果になっても、寺院や魔法の力で、今、元気にこうやって迷宮に足を踏みこめているわけでしょう?

 そこにすらたどり着けなかった冒険者が掃いて捨てるほどいることを考えると、あなた方は十分ツキがある、そういってもいいんじゃないですかね。下を見て安心するという考え方はあまり良くないことも多いですが、あなた方の場合はこう考えたほうがいいんじゃないかと思いますよ。

 それに、すぐに目的のものが出てしまうのは、それはそれでつまらないものですよ。苦労して苦労して、やっと手に入れたもののほうがうれしさもひとしおというものです。

 それに、その念願のものが手に入るのは今日かもしれませんよ。さ、また頑張って下層に行ってきてください。


作品名:先生の言葉 全集 作家名:六色塔