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おかのてる
おかのてる
novelistID. 68135
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てすと

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僕の名前は足立透。
生まれてすぐ親をなくし、色んな凋落をたらい回しにされ、
ここ、ヤソイナにたどり着いた。
そこでも同じような生活だったのだが、
堂島親子に出逢い、ヒトとしての生活を与えてもらった。
そして、遼太郎さんと…夫婦の関係になっている。

「んんっ…。なんだ、透、もう起きてるのか。」
「はい。今日は遠出の狩りでしょう。武具の整備を。」
「んん…ありがとうな…。」

眠たそうな声で僕の腰辺りに抱きつき、寝直しの体勢をとる堂島さん。
その体勢のまま、僕は堂島さんの武具の整備を続けた。

(堂島さんを、守ってよね。)

こっそり武具の先に口づけをして願掛けする。
カミサマなぞ信じやしないが、こうやって祈るのはどうしてもしてしまう。
他でもない堂島さんの命を代わりに守ってもらうモノたちだからこそ、なのだが。

(主よ、我が力も添えようか。)
「お前はダメ。ほんとに危険なときしか出てきちゃダメ。」

脳内で語りかけてきたのは、僕の秘密。
…そう、僕には精霊のようなものがついている。
小さい頃は普通に友達のように接していたが、他の他人には見えないらしく、
不振がられることになったきっかけでもあった。
その精霊の名は、『マガツイザナギ』。
本気を出せば天災すらも押さえ込めるらしいが、
そんな力を振るってはここにもいられなくなってしまう。

せっかく手に入れた帰る場所。
ここを手放すまいと、僕は普段からヘッポコ具合を演じてきたのだ。

(ほんとうは大抵のことはこなせるのだが、あえて失敗したりしているのだ。)

ある程度の整備が終わったところで再び堂島さんを起こし、菜々子ちゃんも起こす。

「足立さん、お父さんまだ起きない。」
「菜々子ちゃん、のしかかり許可するからたたき起こしてもらえる?」

菜々子ちゃんのタックルでようやく起きてきた堂島さんも揃ったところで朝食だ。

「今日は集落のお偉いさんたちと遠出なんでしょ。ぴしっとしてくださいよ~?」

まだ覚醒しきれてない堂島さんに活を入れる言葉を掛けるも、
あまりぱっとしない様子。

「あんまりいい予感がしねぇんだよな…。」

苦虫をつぶしたようなしかめっ面で道具の準備を進めていく堂島さん。

「もう…しょうがないですね。まだちょっと作りかけではあるんですが…。
 これ、良かったら持って行ってください。」

革ひもで括りつけた綺麗な水晶のような赤い石の飾りを手渡した。

「これは…?魔除けのような飾りか?」
「まぁ、そんなものです。菜々子ちゃんと一緒に作りました。
 あ、菜々子ちゃんは耳飾りに同じ石の填まったものを身に着けていますよ。」

嬉しそうに石を光に透かしながら眺める堂島さん。
どうやら喜んでくれているようだ。

「こりゃ綺麗な出来だ。…ありがとう、足立。
 お前たちだと思って大事に身に着けるよ。」

ゆっくり抱き寄せられて、額に口づけを落とされると、くすぐったい感覚になる。
…実はこの飾りには、マガツイザナギの魔力も少し込められている。
(勿論菜々子ちゃんの耳飾りにもだ。)

彼らを護るため、危険になったときにマガツイザナギの魔力で防御壁を張れるよう、
最低限の魔力を込めておいた。
使い切るまではずっと魔力が留まるので、問題ないだろう。
使い切っても、またこっそり僕が込め直せばいいだけだ。

ようやく駄々をこねていた堂島さんを送り出すと、
菜々子ちゃんと朝ごはんの支度をして共にご飯をとった。

「お父さん、喜んでた?足立さん。」
「うん、上手にできてるってさ。良かったね。」

誉められると素直に微笑む様子は、本当にまっすぐ育った証だ。
片親でも、しっかりした良い子だと思う。

…僕とは大違いなわけだ。

日中は堂島さんが狩りに出掛けていることが多いので、菜々子ちゃんと二人で過ごす。
菜々子ちゃんは小さい頃、なくなった奥さんから裁縫などを習っていたようで、
服飾品を作り、食材を手に入れたりしている。
僕もまた手先には自信があるので、飾りなどをつくって生活に役立てている。

「うん、そろそろ市場にいってみようか。」
「うん!」

昼過ぎになると、作った品を籠に入れ、
菜々子ちゃんと手を握り品物交換を行う市場へと向かった。

作品名:てすと 作家名:おかのてる