朝起きたらヤクラに転生していたクロノファン
洗面所で顔をみたら3メートル級のゴキブリ…になってました。
厳密にはヤクラなんですが、原作の様な2次元姿ではなく、リアルな3次元的ディフォルメされたヤクラなんです。
ヤクラ。原作においては大臣になりすましていて、マノリア修道院のボス役で台詞に『デロデロ』が入るゴキブリ様生物。
クロノとカエルでエックス斬りをしてれば3分もせずに倒せてしまう。
わたしも最初はヤクラだと気付かず、巨大なゴキブリだと思っていたのですが、部下の方からビネガー将軍に会うよう催促されて、その時初めて自分がヤクラなのだと気付いたのです。
第1話
ビネガー将軍に呼ばれ部屋に行くと、ガルディア侵略の計画の話を聞かされました。
ビネガー将軍…
原作通りにこすい奴でした。
ガルディアに教会を設立して、そこで人間に成りすまし、ガルディアの王宮を乗っ取る計画。リーネ王妃やガルディア21世に化けてガルディアを支配したいという。
それは原作通りですので私も驚きませんが、ビネガーはガルディアの領土を独り占めする気でいたのです。魔王やソイソー、マヨネーに内緒で…。
告げ口してやろうと思いましたが、ビネガーに目をつけられるのも厄介なので従う振りをしました。
私の任務はマノリア修道院の責任者、及び、人々の誘拐です。
人々を誘拐し、監禁し、顔形を真似る。真似たら処分すること。
部下達は人々に変幻し、ガルディアの情勢に探りをいれさせる。
王族や大臣や要人に教会で祈りを捧げるように促して連れてこさせ、監禁して変幻する。
部下達は魔法のカリスマ魔王様の為にガルディアを支配するものと思っているが、全てはビネガーの私利私欲を満たす為である。
純真な部下達を騙して利用しようとする。実にこすいビネガーだが、さて、これをどうしたものか…
人を誘拐しなければ、私はビネガーにお仕置きされるし、でも誘拐なんてそんな酷い事はできない。
いっそガルディアに亡命したらどうだろうか?
きっと駄目だデロ。私みたいなヤクラ、きっと似たようなのがいて、そいつ等が私を暗殺しにくるかもしれない。
とうすれば…
逃げるしかない?
代役が他にいるだろう。逃げるだけでは犠牲者は減らせない。
やはり魔王ジャキに告げ口するしか無いか? 原作では仲間になるし、それ程悪い奴ではないのかも。
いやいや、彼はサイラスを殺していた。
サイラスは亡霊になる程の未練を持っていた。紛れもなく魔王はサイコ野郎だろう。
魔王自らガルディアに進行しない事を考えると、ラヴォスへの気が集中しているだけで、ビネガーが何をしようが知ったこっちゃないのかもしれない。
私は決断した。魔族の裏切り者として手紙を書き、カエルに届ける。騎士であるカエルを経由して騎士団が動けば、マノリア修道院に潜む魔族をなんとかしてくれるだろうと。
騎士団がなんとかしている間に、森にでも隠れて時をやり過ごし、クロノ達に助けを求める。そうすればなんとかなるだろう。
問題はこの先の人生プランだデロ。
この容姿で人間とデートしたり結婚したりなんてできないだろう。
ヤクラとして同種族とお付き合いなんて考えられないデロデロ。
あれ? なんだが気持ちが人間よりもヤクラなメスが良い様な気がしてきたデロ。
そういえば、いつの間にか語尾がデロデロしてるし…
もしかして、この世界でやっていけるのか?
タイムマシンで行き来すれば、何度でもアプローチをやり直せるよね。
つまり、工夫すれば口説け無いはずがない。
なーんだ。ヤクラ人生、余裕じゃん。
おつかれー!
第2話
クロノファンとしてすっかり忘れていたこと。
それは…
『ガルディアと魔族軍との戦争』である。
原作ではクロノを操作していると民家の人から「一年以上、戦争が続いている」というコメントが得られる。
私はカエルに手紙を書き、教会建設計画を潰す事には成功したものの、一年以上続く予定の戦争についてすっかり忘れていた。
人間に変幻して得られた情報によると、魔王軍は大陸中央の砂漠の熱さを避ける為、海岸沿いを進行していた。
ビネガー率いる屍軍団、総勢1000体がガルディア本土に向けて進軍していて、何も対策をしなければ3日後、ゼナンの橋に到着し本土入りをする予定である。
ガルディアは前線で戦う為の兵士を募集していた。
馬に乗った兵士達が次々に橋を渡っていくのを見て私は…
1.見てみぬ振りをする
2.加勢する
どちらかを決断しなくてはいけなくなった。
私は魔王軍にて部隊隊長をしていた
それだけの実力があるのは、私がゴキブリ様生物、ヤクラだからだろう。
私は人間より大きなゴキブリ。そのスピードは時速100kmを軽く超えて走れるのである。しかも皮膚は固い殻に包まれ、全身に鎧を纏っている様なもの。ちょっとやそっとの攻撃ではビクともしない。
クロノとカエル、ルッカのたった3名に制圧される程弱いものの、対決を1対1のタイマンに持ち込めれば負ける筈がないのだ。
教会の様な狭い部屋ではなく、広い戦場ならばマックススピードも発揮できるだろう。であるなら敵に取り囲まれる心配はなく、常に1対1のタイマン勝負に持ち込める。
私はガルディア軍よりも早く前線に行く事ができ、魔族を掃討する力があるのだ。
恐れる心配等ないのだ。
私は戦場へと向かった。
戦いの結論からいうと、ガルディアに加勢した事で、ガルディアに対する私への見方が変わる事になる。
魔族を裏切り人間側に味方するゴキブリ。アイドルゴキブリとして街でもてはやされることになる。
人間の世界で生きれるなら私も手放しで喜べるだろうが、魔族の中には人間に変幻する魔法が使える者がいる。
人間社会に居場所を求めようものなら、人間に成りすました魔族に狙われ暗殺されてしまいかねない。
私は森のなかでクロノが来るその時を待ち続けた。
たが全くの想定外…。まさか一年経ってもクロノ達が現れないとは…。
私が魔族を裏切り、死ぬ筈の人間を生かした事で、未来が変化し、クロノ達が生まれなくなったのか?
そもそもクロノが生まれていたとしても、ここが原作0周目の世界である可能性もありそう。
原作では魔族村メディーナにて、魔王の銅像が建てられ、魔族達はいずれ目覚めるラヴォスが人間を滅ぼしてくれるのを期待していた。
魔王がラヴォスを召喚しようとして、どうなったのかを語る魔族は1人もいなかったが、この原作0周目の世界ではクロノ達は現れなかったということ。
クロノ達が現れず、クロノ達が不在した世界があったということ。
クロノ達が中世時代に来ていれば、魔王と戦ってタイムゲートに飲み込まれ、中世に残されたビネガーが魔王代理として、メディーナ村にて銅像にされている筈なのだ。
作品名:朝起きたらヤクラに転生していたクロノファン 作家名:西中