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もしもパイロが生きてたら1

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クルタ族は森に生きる種族だ。

クラピカは元気に森へあそびにでかけた。今日は最近忙しそうで一緒に遊べなくなったパイロと一緒だ。嬉しそうにパイロと話しながら歩く。

「今日はほんとにいい天気だな!」

「そうだねクラピカ、でも、森の天気は変わりやすいから注意しないと。昨日も大雨だったし」

パイロがうきうきしているクラピカをたしなめる。

「そんなこと、生まれてからずっとここに住んでいるんだから知ってるさ!それよりパイロ、今日こそ最近コソコソと何をやっているのか教えてくれないか?」

「もー!内緒って言ってるでしょ?」


和やかに話しながら歩いていると数十分で目的地に着いた。崖下の洞穴だ。ここは二人の秘密基地、ここで今日も過ごす予定だ。

「よーし、今日も外の世界の言葉を勉強するぞ!」

真面目な顔をして本を手に取る。

「クラピカは本当に外の世界に行きたいんだね」

「うん!パイロの目と足を直してくれる医者を探してくるからな」

力を込めてクラピカが言う。

「いいよ、それより、ハンターになるんでしょ?楽しかったって言える旅にしてよね!」

いたずらっぽくパイロは笑う。

「それにもうすぐ試験でしょ?それが終わったら僕の秘密教えてあげるから頑張ってね!」

「本当に!?なら、なおさら頑張らないと」

クラピカはこぶしをグーにして誓った。
それから二人で勉強をする静かな時間が流れた。数時間立った時、突然爆音が鳴り響いた。

「なんだ!?村の方向からだ!」

クラピカが素早く立ち上がって言う。

「本当だ、、何かあったのかな?」

パイロも不安そうだが顔を引き締めて立ち上がった。

「とりあえず急ごう、俺は先に走って様子を見てくる!」

クラピカが走り出そうとしたその時、今度は近くでゴォォォォォという音が聞こえ、地面が揺れた。

「「うわぁ!!」」

気がついたら暗闇だった。

「パイロ!パイロ!いるか?大丈夫か?」

「う、うん。尻もちついただけでなんとか、クラピカも大丈夫?」

「うん、大丈夫。それよりこれは、、、昨日の雨で崖が崩れたのか?それで入り口がふさがって真っ暗に、、、」

クラピカは何かこの状況を打開できるものがないか考え込む。
(さっきの音は村まで聞こえてるはず、、だとしたら助けが来るかもしれないけど、村のほうでの轟音も気になる、、それにここは秘密の場所だ。助けが来るまで酸素が持つかどうか)
二人とも沈黙して10分ほど時間が流れる。口火を切ったのはパイロだ。

「ねえ、クラピカ、実はこの洞穴、一時間くらい掘り進めばまた空洞につながっているんだ、僕、わかるんだ、半径3メートルくらいは見えなくても」

「何でそんなことできるんだ!?」

クラピカが目を見開く。

「えへへ、実は村に目の見えないおじいさんいるでしょ?なのにひとりですいすい歩ける人」

「いるけど、、」

「その人にこの技を教えてもらっていたんだ。将来何も見えなくなるかもしれないから、、、見込みがいいって褒められたよ」

照れくさそうに頬を掻く。

「そうか、、、呪術みたいなものか???ま、まあひとまず置いといて、それなら洞窟の可能性が高い、外に出られるかもしれない」

クラピカは決断した。

「助けが来るまで酸素がもつ保証はないし、何よりも村が心配だ。洞窟まで掘り進めよう」

それからクラピカとパイロは頑張った。パイロが力を使って石を探し、クラピカと壁を掘り進めた。迷路のような洞窟をパイロの力とクラピカの頭脳で一日かけて脱出した。夜を洞窟で明かし、次の日は鳥を捕まえて焼いて食べた。そして、村と思われる方向に必死に三日間かけて進んでいった。
そして、村にたどり着いた時見たものは、、、拷問され虐殺され目玉をくりぬかれた同朋たちの姿だった。

「なんで、、、なんで!!!」

「そ、そんな、、」

クラピカは目を真っ赤にして怒り泣いていた。パイロはへたり込んで呆然としながら涙を流していた。二人はしばらくその場を動けなかった。何時間がたっただろう、クラピカは呟いた。

「殺してやる。こんなことをしたやつら全員とっ捕まえて殺してやる」

パイロは泣いて縋り付いた。

「そんなこと言わないで、みんなが悲しむよ、、、まずは静かに弔ってあげよう」

そう言うとパイロはふらふらとしながら埋葬のための穴を掘り始めた。しばらくクラピカはその姿をボーっと見ていたがやがて手伝い始めた。