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来栖なお探偵事務所 3話 朝谷邸

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依頼を受けたなおと助手は翌日、朝谷社長の自宅に赴いた。

「こ、ここであってるん、だよね?」
「えぇ、ここであってますよ」

朝谷社長の自宅に着いた二人は、唖然としてその家を見ていた。

そこはまるで日本の武家屋敷と言っても過言ではない大きさの塀に囲まれ、広さは一般住宅十件以上の広さだ。

そして極めつけはなおと助手の目の前の巨大な門。

一体誰がこんな門を通るのかと思うぐらいの大きさで、その高さは十メートル位はある。

「とりあえず、そこにあるの、鳴らしてみますか」

助手がそう言って指さしたのは巨大な門の横にあった、普通サイズの扉に着いてた呼び鈴である。

「う、うん」

頷いたなおは呼び鈴を押すと、呼び鈴がなり、扉が開いた。
出てきたのはメイド服を着た二十代ぐらいの美人な女性だった。

「いらっしゃいませ、来栖様と助手様ですね、私は朝谷家に仕えているメイドの愛冬(まふゆ)と申します、どうぞ、お見知りおきください」

愛冬は流麗な動作で一礼し、そのまま流れるように前を先導しながら移動した。

「どうぞこちらへ、朝谷様がお待ちですので」
「ありがとうございます」

愛冬にお礼を言い、なおと助手はその後に続いた。

扉の中は日本庭園を模した様な作りで、石でできた足場と砂利と小石で周囲を敷いた造りは見事なものであった。

少し先には立派な日本屋敷が構えていて、入口からも見えるその庭には、樹齢数百年は超えているであろう、桜の木が佇んでいた。

「はぁ、すごい景色ですね」

そんな光景になおはため息と感嘆の言葉しか出なかった。

「そうですね、この御屋敷は代々受け継がれてきてるらしく、あの桜も当時の先代が植えられた、と聞き及んでいます」

愛冬は桜の木を見ながら少し微笑んで先を進んだ。

(ん?)

ふと、助手は周囲を見渡した。

「どうかしましたか?」
「あ、いや、何でもない」

愛冬に聞かれたが、助手は気のせいかと思い、そのまま愛冬に着いて行った。

屋敷と言っても過言ではない入口から靴を脱いで上がった朝谷邸は廊下はフローリングになっており、幾つかの部屋を通り過ぎ、1番奥の部屋の前まで来た。

「朝谷様、来栖探偵様と助手様をお連れ致しました」

愛冬は襖越しに朝谷社長に呼びかけた。

「どうぞ、お通し下さいな」
「それでは来栖様、助手様、どうぞお入りください」

愛冬は襖を開くと一緒に横にずれて頭を下げた。

「「失礼します」」

なおと助手は中に入ると、畳の部屋にテーブルを挟んで、奥に朝谷社長がお茶を飲んで居た。

「ようこそ、いらっしゃいませ、ここまでお疲れでしょう、お茶でもどうですか」

朝谷社長は言いながらお茶の用意をしようとしていたが。

「奥様、それは私めの役目なので、お話を先にされるのがよろしいかと」

いつの間にか、朝谷社長の隣に立っていた愛冬がお茶を入れる急須(きゅうす)を取っていた。

「あら、そう?ならお話を先にするのでお茶とお菓子も用意してもらっていいかしら」
「はい、直ぐにお持ち致しますので、少々お待ちを」

愛冬はそう言い、畳の部屋の隣に設けられた台所に向かった。

「それではご依頼のお話をしましょうか、どうぞ、お座りください」

朝谷社長は座布団を敷いた畳の上に正座をして居たので、それにならって座布団の上に正座して話をする事にした。

「それでは、先日の続きなのですが、具体的に何処を探すのか検討はついているのでしょうか?」
「すみません、探すにしてもまだまだ手掛かりが少なくて、予想的にここかなって所まで絞ったのですが」
「仕方ないですよ、母がアレだけしかヒントを残さなかったんですから」

なおと朝谷社長は、お互い苦笑いになりながら話は進んだ。

「探す場所は絞ってるとの事ですが、何処でしょうか?」
「えぇ、絞ってる場所は大まかに分けて3つ何ですが、その前に、この家の見取図はありますか?」
「はい、それなら念の為にこちらに用意しときましたよ」

なおが聞いた後に、お盆にお茶とお菓子を持ち、脇にはこの家の見取図らしき物を持って愛冬さんがそう答えた。

「準備がいいですね」
「必要になる事は何となく分かっておりましたから」

助手は愛冬がお茶とお菓子を用意している間、話を聞いて直ぐに見取図がいることに気付き、それを即座に持ってきた事に少しの驚きと興味が少し出てしまった。

「愛冬さんはここに務めて長いのですか」
「はい、私は先代の頃から仕えています」

お茶とお菓子、見取図をなおと朝谷社長に渡した愛冬は助手の質問に答えた。

「なるほど、でしたら今回の件は先代の方からお聞きになられた、という事ですか?」
「はい、私は…」
「助手さん、今は彼女の話よりこちらの話を進めませんか」

助手の質問に愛冬が話そうとしたが、それを朝谷社長は遮る形で話を変えた。

「すみません、愛冬さんがどのような方なのか、まだ知らなかったもので、愛冬さんが何故この件を知っているのかとか」

助手はあの遺書にあった。

「他の兄弟、親戚等にも一切他言しては行けません」

この一文に関して、先代の朝谷さんはかなり警戒をしているのに、雇のメイドにこんな事を話している事が疑問でしか無かった。

「そう言えば、まだ正式に紹介してなかったわね、この子はこの家に10年以上働いてくれている、メイドの愛冬です」

朝谷社長は愛冬の事を紹介はしたが、恐らく全ては話していない事を助手は感じていた。

「そう言えば、僕たちも自己紹介がまだだったね、僕は来栖なお、来栖探偵事務所の所長をしています」
「自分は来栖なおさんの助手を務めているただの助手です」

なおと助手は互いに少し頭を下げて自己紹介をした。

「これでお互い自己紹介も終わった事だし、本題に移りましょう」

朝谷社長の言葉は最もだと思い、助手となおは改めて愛冬が持って来た見取図を見た。

「それで来栖さん、どこら辺にあると思いますか」
「僕と助手君で昨日話し合ったのですが、ヒントの隠し場所が何処かと、隠してると思う確率が高い場所と絞ってみました」

なおはそう言い、机の上に広げられた見取図を見ながら聞いた。

「朝谷社長、この見取図の中で朝谷前社長の部屋と縁ある場所は何処ですか?」
「母のですか?それでしたら此方の部屋にあります」

朝谷社長は見取図の一角に指を指した。
そこは一階の奥まった場所に一つだけ隔離されたように配置がされていた。

(やっぱりか)

なおと助手は互いに顔を見合わせ頷き合ってから朝谷社長に聞いた。

「その部屋に案内してもらっていいですか?」