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来栖なお探偵事務所 4話 ギフト

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朝谷社長に案内してもらい、先代の部屋に着いた。

「ここです、一応私共もこの部屋を色々探しては見たのですがそれらしい物は見つからなかったので、てっきり別の場所かと思っていましたが」

朝谷社長が襖を開け、中に入りながら話してくれた。
内装は他の部屋同様に和風な感じになっていた。

だが

「やっぱりここだと思いますよ」

なおは確信を持ったようにそう言った。

「何故ですか?」

なおの言葉に確信めいた物言いに愛冬は疑問に思った。
その疑問になおは部屋を歩きながら話した。

「この部屋だけ位置が他の部屋よりある場所に近いんですよ」

「ある場所?」

朝谷社長もどういう事か分からず聞いた。

「それは、蔵です」
「「蔵?」」

朝谷社長と愛冬は同時に蔵と言う言葉に?を浮かべた。

「そう、蔵です、そしてこれから見せるものは他言無用をお願いできますか」

なおの言葉に朝谷社長と愛冬は訳が分からないが、頷くしか無かった。

「それでは、行きます」

なおは時計の下にゆっくり目を閉じた。

そして数秒してから目を開いた瞬間、その瞳には普段の青みがかった薄いピンクではなく、深紅を思わせる紅い色合いを帯びていた。

「まさか、なおさんはギフト保有者だったんですか!?」

愛冬がこちらを見ながら驚きながら聞いてきた。

「驚かれたでしょう、まさか自分以外にも居るとは、思いもしませんよね」
「っ?!」

助手の返答に愛冬は言葉を詰まらせた。
何故か、それは、彼女自信もギフト保有者だからだ。

「…何故、私がギフト保有者だと」
「確証はなかったですが、先程の返答だけで分かってしまいましたよ」
「この事は…」
「えぇ、言いませんよ」

愛冬は安堵した様にふぅ、と息を吹き、なおの方を向いた。

ギフト保有者
その存在はいつからか人々の生活に紛れ込んでいた。
ある者は天才的マジシャン、またあるものは天才的ハッカー等など、個々の能力なのかギフトによる恩恵なのか、今まで判断出来なかった物が判断出来るようになったのはここ数年。

それは、とある人が気付いた些細なことからだった。
ネットが当たり前になった世界で自身の瞳の色が変われば誰だって注目を集めたくてSNSに投稿し、それが切っ掛けで世界に極小数しかいないギフト保有者は国の研究機関に強制的に入れられる者も居た。

だが、来栖なおの様に秘密にして仕事に活かす者も少なくは無い。

(まぁ世界に極小数しかいないとは言え、日本にはかなり増えているらしいが)

そんな事を考えていると、なおはゆっくりと、指を時計に向け、その後に掛け軸、押入れの順番に指を指した。

「えっと、どうゆう事なの?」

「あれはなおさんのギフト『直感』の能力で、なおさんが必要とする情報が直感で分かるんです」

朝谷社長に助手が説明してる間、なおは机に乗り、そのまま時計の針を12時12分にした。

カチッ、という音と共に、なおは掛け軸を捲ると、そこには鍵が着いた箱が置かれていた。

「え?前までそこにはそんなもの無かったのに!」

朝谷社長は驚いきなが掛け軸が捲られた所にある箱を取り出した。

「朝谷社長、その鍵穴は先代が残した鍵と一致するはずです、試して見てください」

「え、えぇ、分かりました」

未だに深紅の瞳のなおに、少し朝谷社長は戸惑ったが、余り驚かなかったのは愛冬がギフト保有者と知っていたからかもしれない。

朝谷社長は鍵を箱の鍵穴に差し入れ、回すと。

カチッ

「開いたわ」

朝谷社長は箱をゆっくり開いた。

「これは…ボイスレコーダー?」

朝谷社長が箱から取り出し、それを見た愛冬が言った。

「それをこの押し入れの床で、再生させてください」

なおの指示に朝谷社長は何も入ってない押し入れの床に置き、再生ボタンを押した。

「…ザザ…ザ…菊、この録音を聴いているということは、私は死んだのね」

「っ?!…お母さん!」

ボイスレコーダーからは先代の音声が流れ初めた。

「菊、よく聴きなさい、これを再生させたと言うことは、部屋の時計の謎が解けたのね」

謎が解けたと言うよりギフトで反則したようなものなのだが、それを今言う人は誰もいなかった。

「このボイスレコーダーには、菊に残した遺産の場所への鍵、これを押し入れの床に置きなさい」

そこから音声が途切れ、数秒後に、また音声が流れた。

「12月12日、永久に眠りし物、今一度、道を開たまえ」

ボイスレコーダーから流れた言葉の直後。

ガチャッ

と音を立てて押し入れの床が開いた。

「これは、隠し通路…」

「恐らくですが昔からこの家にあったものでしょうね、昔からの名家だと以前母に聞いたことがありましたから」

愛冬は戸惑ったが、朝谷社長は予想していたのか余り驚いてはいなかった。

「行きましょうか、この先に先代の残した遺産があるはずですよ」

なおは瞳の色はいつの間にか、元に戻っていた。