二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

来栖なお探偵事務所 7話 最初の出会い

INDEX|1ページ/1ページ|

 
〜回想〜
3年前

その日は雨が降り仕切り、事務所に帰る途中の来栖なおは、傘を片手にため息をついていた。

「はぁ、依頼は無いし、生活もこのままだとやばいなぁ」

誰に言うでもなく、ただただ独りで呟いていた。
そんな時、ふと、なおの視界の隅に、人がいた。

その男はコートを着て居たが、ずぶ濡れで傘もささず、壁にもたれ掛かりながらその場で座っていた。

「ちょっと、大丈夫ですか?そんなずぶ濡れに…っ!」

なおは声を掛けた後に気付いた。

その男の体には雨で滲み、大量の血が付着していて、地べたにも血が落ちていた。

「血だらけじゃない!今すぐ救急車を呼ぶから」

なおが救急車を呼ぼうと鞄から携帯に手を掛けたが、その手を男が掴み、首を振った。

「救急車は、いい、近くに、休める所は、ないか」
「そんなこと言ってる場合!」
「大丈夫、だ、だから、頼む」

なおはどうするか迷ったが、携帯を戻し、男に肩を貸した。

「ここから近くに、僕の事務所があるから、そこでいいよね」
「あ、あぁ、すまない、な」
「そう、思うなら、素直に救急車に、運ばれてくれると、ありがたかったんだけどね」

なおは肩を貸してるが、重くてすぐに息を切らしながら運んでいた。

事務所に辿り着き、男をソファーに寝かせ、なおは男に頼まれ、お湯、タオル、ハサミを持ってきた。

「持ってきたけど、どうするの?」
「あぁ、ちょっと目を逸らしてた方が良いと思うぞ、今から傷を治す為に処置するからな」
「いいよ、ここで見てるから」
「はぁ、後悔するなよ」

男はコートを脱ぎ、血と雨で体に張り付いた中のシャツをハサミで切り、上半身裸になった。

「っ!」

なおはその体の傷に驚た。

背中に深深と刺された傷から、血が未だにダラダラと流れていた。
男はその傷口を湯につけたタオルで、傷口にあてがった。

「いっ!」
「ちょ!そんな事したら傷が!」
「大丈夫、大丈夫だ」

男がそう言い、タオルを離すと、そこには傷が無くなっていた。

「っ?!傷が!」
「自分のギフトだ、君にもあるだろ」
「っ!何で、それを…」
「自分はギフト保有者かどうか、見極める事が出来るんだ」

なおは驚いたが、そんな人もいるんだと思った。

「ねぇ、何があったかは聞かないけど、君は、これからどうするの?」
「さぁなぁ、何処かで野宿しながら生きていくさ」

男がそう答えた後、なおは少し悩み、提案した。

「君さえ良ければだけど、僕の助手になってみない?」

なおの提案に男は疑問しか浮かばなかった。

「助手?そもそも君は何をしている人なんだ?」
「あぁ、そう言えば自己紹介がまだだったね、僕は天才名探偵!来栖なおだよ!因みに声優の卵でもあるからねっ!それで君は?」
「自分、は…自分は…誰なんだろうな、名前なんて、もう、覚えてないんだ」

男の言葉になおは戸惑った。

「えっ?もしかして、記憶喪失っ!大変じゃない」
「いや、そこまで困ってはいない、思い出せないのは名前と…いや、何でもない」

男は何かを言いかけて止めた。

「でも、記憶喪失なら尚更ここで助手をした方がいいと思うんだ、何かを思い出すかもしれないし」
「どうして、こんな怪しいヤツを?」

確かに、こんな怪しいヤツは即警察に通報が普通だ。

だが

「だって、君からは色々学べそうな気がしたから」
「そんな理由で?記憶すらない奴を?」
「そんな理由だよ」

男の答えに、なおは何でもない様に返すと、男はキョトンとした顔をした後、笑った。

「っはははぁそうか、そんな理由かぁ」
「何よ、そんなに笑う事ないじゃない」
「いや、悪い悪い、それじゃ助手になる代わりに、なおさん、君には自分が持てる技術の全てを教えますよ」

これが、なおと助手の最初の出会いだった。