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来栖なお探偵事務所 8話 助手

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連れ去られたなおが倉庫に寝かされてから数十分後、なおは目を覚ました。

「ぅっ、何で助手君との出会いの夢なんか見たんだろう」

なおは、薄らと朧気な記憶を思い出していた。

「そうだ、僕、攫われたんだ」

なおは思い出した後、すぐに逃げようと立ち上がったが、すぐ近くに二つの影が来た。

「何でこんな奴を連れてきてんだよぉ」
「仕方ないじゃない、それに、あの人が居たのよ」
「見間違いじゃねぇのかぁ、確かにあいつは3年前にやったぞ」
「見間違いなんかあるわけないじゃない」

なおはなんの事か分からずに仮面を付けた二人の会話を聞いていた。
一人は飄々とした態度の仮面の男で、もう一人はなおを拐った仮面の女だった。

「貴方達は一体、何者なの」

なおの言葉に二人の視線はなおに向けられ、仮面の女が口を開いた。

「アンタには関係ないけど、こっちも聞きたいことがあるし、こっちの質問にも答えてもらうよ」

なおは少し考え、少しでも時間を掛けることにした。

「それでいいわよ、それじゃこっちが先よ、貴方達は何者なの、何でこの指輪を狙ったの」
「質問が増えてるけど、良いわよ、答えてあげるわ」

女がそう言うと話してくれた。

「まず、私達はギフト保有者の集団で、お金になりそうな物を盗み出す事を生業にしているわ」
「ギフト保有者の集団?!」
「さて、こっちは話したんだから、次はこっちが質問するわよ」

なおは何を聞かれるか身構えた。

「アンタと一緒にいたあの男、彼とは何処で会ったの」
「…え?」

なおは予想外な質問に困惑した。

「だから、アンタの助手よ、彼とは何処でいつ出会ったの」
「何で、そんな事を?」
「いいから答えなさい!さっきはこっちが答えたんだから、それとも、もう死にたいのかしら」

仮面の女のその手には、ナイフが握られていた。

「…助手君とは3年前に偶然出会っただけだよ、それから彼には色々教えて貰ってるんだ」
「やっぱり、アンタが殺し損ねたのね」

仮面の女は話を聞いた後に後ろで黙って聞いていた仮面の男に視線を移した。

「っかしぃなぁ、確かにあん時、後ろから心臓を一突きしたはずなんだがなぁ」
「狙いが逸れたんじゃないの」
「んなわきゃねぇだろぉ、俺のギフトはお前も知ってんだ、何万回やっても、外さねぇよ」
「なら、一体どうやって」
「考えれんのはぁ、奴のギフトが元々違った、とかだなぁ」
「そんなことありえるの?確かにギフトは少し違う風に見せられたとして、数年間一緒に居た私達に隠し通せるなんて」

仮面の二人が話し始め、最初なおはなんの事か分からなかったが、すぐに気付いた。

(この人達は、助手君の前の知り合いなの?!)

なおはなぜ、彼等が助手と知り合いなのか、助手は彼等の事を知っていたのか、様々な疑問がなおの頭を埋めた。

なおは耐えきれず、彼等に聞くしか無かった。

「貴方達は、助手君と、どうゆう関係だったの」
「ん?もしかして、アンタ何にも知らないであの人と一緒にいたの?」

なおは頷くしかなかった。

「はぁ、良くそれであの人と一緒に3年間も入れたものねぇ、良いわよ、冥土のみあげに教えてあげるわ」

仮面の女のその前にと前置きをした。

「アンタ、確か来栖なおだったわね、両親は医者で、もう死んでいる?」
「そ、そうだけど、それが何!」
「あぁ、やっぱりそうなんだ、なるほどねぇ」
「な、何なの!どうゆう事よ!」
「アンタの両親を殺したのは、アンタの助手君だよ」
「っ?!」

なおは言葉が出なかった。

「アンタどうせ、探偵になった目的って両親の仇を探す為だったんでしょ」

なおは顔を下に向け、無言でその言葉を聞いていた。

「哀れよねぇ、両親の仇が3年も一緒に生活していたなんて、滑稽でしかないわ」

仮面の女は笑いながら喋っていた。

「おい、何か来たぞ」

話を聞いていた仮面の男はさっきまでの飄々とした態度が消え、倉庫の外を警戒しながら話しかけた。

「まさか、もうここに辿り着いたの?!」
「馬鹿な、ここまで数十キロはあるんだぞ!」

そんな言い合いの中、倉庫の扉が開かれた。
仮面の二人は身構えるが、開いた扉からは誰も居なかった。

「油断するなよ、アイツのギフトを考えれば姿が見えない事が普通なんだからな」
「分かってるわよ」

二人は警戒しながら周囲を見渡した。
だが、数分待っても何も起こらなかった。

「まさか聞き違い?」
「そんな訳ないだろ!扉開いたの見てただろ!」

そんな時、二人の体に異変が起こった。

「「っ?!」」

二人の体は突然倒た。

「な、何だこれ!体が痺れて、動かねぇ!」
「何なの、これ!」

そんな二人の前に、唐突に助手が現れた。

「やっぱりお前らだったか、ベータ、ガンマ」
「師匠」
「クソが!」

助手は二人の仮面を外し、その顔を見ながら呟いた。

「何で、てめぇ、生きてやがんだ!あの時やったはずだぞ!」

ガンマは痺れながらも聞いてきた。

「ガンマ、確かにあの時、お前に刺されたさ」
「だったら何で生きてんだ!」

ガンマの怒鳴り声に助手は答えて話した。

「お前等には言ってなかったが、あの頃、俺は常にギフトを発動させてたんだよ」
「そんなはず、だって師匠は仕事の時しかギフトを使ってなかったはずじゃ」
「だいたい、そんな事してたら常時目の色が変わってたはずだ!それに、アンタのギフトは迷彩のギフト能力だったはずだろ!」

そう、迷彩のギフトを常に使っていればただ背景と同化するだけになる、だが、そんな状態になっている所など、ガンマもベータも知らない。

「誰がいつ、迷彩がギフトだって言った」
「はぁ?!最初の仕事の時に…」
「いや、確かに、師匠は自分の言葉で何のギフトかなんて言ってなかった」
「そう言うことだよ」

助手はニヤリと笑い、なおの元に向かった。

「なおさん、すいませんでした、自分がいながら」

助手はなおの拘束を外したが、なおは顔を下に向けたまま上げなかった。

「もしかして、あの二人から聞きましたか」

助手は何をと言わず、なおに問い掛けると、なおは少し顔を上げた。

「少しだけ、ただ、僕の両親についてはまだ聞いてない」
「そうですか、なおさんは聞きたいですか、その話」

なおは頷き、助手は話し始めた。