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来栖なお探偵事務所 最終話 これからの二人

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その後、ベータとガンマは警察に引渡し、朝谷社長達の元に帰り、指輪の話をしたが。

「それはなおさん、貴方にお渡しします、その方が安全と思いますから」

朝谷社長は助手を見ながら微笑み、その後に今回の報酬金も支払ってくれた。

「それでは、これで自分達は失礼します」
「朝谷社長、愛冬さん、ご心配おかけしました、この指輪も、ありがとうございます」

助手となおは一緒に頭を下げ、事務所に帰った。




事務所に戻ると二人は会話もなく、少し気まずい雰囲気が流れていた。

「ねぇ、助手君、君はこのまま、この探偵事務所に居てくれる?」

なおは少し寂しげに、そう聞いた。

「それは、自分がこの事務所を出ていくと、ギフトで分かったんですか?」
「うん、あの時倉庫で、戦った後にギフトを少し使ってみたら、助手君が今日の夜、事務所から消えてるのを見たんだ」

それを聞き、助手は何も言わなかった。

「別にね、良いんだよ、僕に縛られなくても、助手君がここに居たのは、お父さんの残してくれた言葉でってのは、分かってたから」

なおは顔を下に向けて、続けて話をした。

「だからね、もう僕は、大丈夫なんだ、一人でも、このギフトがあれば何とかなるし、仕事もちゃんとこなせる、だから、だから助手君、このまま事務所から出て行っても、良いんだよ、もう、僕のお兄ちゃんでいる必要も、無いんだよ」

助手は何も喋らず、ゆっくりと動き、事務所の扉に手をかけた。

キィと扉が開き、パタンッと閉まる音が聞こえ、なおは振り返り、そこに助手が居ないことに、寂しさと、悲しみが押し寄せ、涙が流れた。

「ごめんね…助手君…ごめんね…今までずっと、僕に付き添ってくれて…僕に、寂しい思いをさせないように…一緒に居てくれて…ありがとう」

なおは泣きながら、謝罪と感謝をし続けた。






それから数日後、なおの所には様々な依頼が舞い込んできた。

その原因は朝谷社長が宣伝してくれたおかげである。

だが、なお一人にその数の依頼はこなせない。

「はぁ、一人でもって言ったけど、流石にこの量はねぇ、助手の募集でもしてみるかな」

なおはそう言い、助手募集のチラシを作ろうとした時。

コンコン

玄関の扉がノックされた。

「はぁ、また依頼の人かな」

なおは玄関に向かい、扉を開けた。

「どちらさ…ま…」

扉を開け、なおは驚いた顔のままノックした人物を見た。

「ここで助手の募集などしていれば、雇って貰えないかな」

その人物は一礼し、頭を下げた。
その姿を見たなおは涙を目に浮かべ、彼のを呼んだ。

「助手…君…」

そう、そこに居たのは、あの日以来姿を見せなかった助手の姿であった。

「お久しぶりです、なおさん」

助手は微笑みながら頭を上げた。

「どうして、今まで連絡の一つもよこさなかったの」
「すみません、少々後始末に時間がかかってしまったもので」
「後始末?」

そう、助手は以前属していたギフト保有者の組織の上層部を片付け、ギフト保有者を真っ当な道に戻していたのだ。

それはもちろん、警察に捕まっていたベータやガンマにも釈放させてからそれぞれの道を示し、進む様に勧めたが、彼等がその通りにするかは彼等の選択次第だ。

「まぁそう言うことで連絡したくても出来なかった訳ですよ」
「それでも、あの時に、一言、言ってくれても」
「なおさんに心配掛けたくなかったんですよ」

それに、と助手は続けて、なおの頭を撫でながら言った。

「なおさんには、危ない事に巻き込みたくなかったですから」

そう、今までずっと助手は変わらず、なおの安全を思いながら行動していたのだ。

「なおさん、これからも僕を助手にしてくれますか?」
「ッ!うん、これからも、よろしくね!助手君!」

助手の言葉に、なおは涙を流しながら改めて、助手を雇い、助手はなおの助手となった。



[完]