D.C.IIIwith4.W.D.
Prologue:Long long time 生きた証
あれはいつだっただろうか。
350年も生きていると、やっぱり記憶というものは曖昧になって。
それでも大事なことはちゃんと覚えていて。
けれどそこまで重要じゃないものは、記憶の片隅に追いやられていて。
……そういえば、ここ120年ほどはいろんな意味でバタバタしていた気がする。
これまで生きた200年以上とは比べ物にならないくらい。
どうやら、俺は風見鶏で過ごした4年――いや、それ以上か。
風見鶏で過ごした期間を境に、灰色だった人生は少しずつ色づいていったらしい。
旧友と呼んで差し支えない人が出来たり、生涯で唯一愛する人が出来たり。
俺はこんなに幸せでいいのだろうか。
少し不安になることもある。
けれど、やっぱり今の幸せは何物にも代えがたくて。
俺が禁呪によって失ったものは二度と取り戻せない。
だからこそこの幸せはなんとしても手放したくないと思う自分がいて。
隣にいるこの娘と、再会した友人達は絶対に大事にすることを心に誓おう。
作品名:D.C.IIIwith4.W.D. 作家名:無未河 大智/TTjr