Detective
どうにか彼女から情報を引き出せないだろうか。
女性が苦手な笠松が必死に考えを巡らせていると、無駄にキラキラとしたイケメンの後輩が、ぽんと笠松の肩を叩いた。
「こういうのはオレに任せるっスよ、先輩。
お姉さん、ちょっといいっスか?」
気安く女性に話しかけて、後輩はぽんぽんと彼女から情報を引き出す。
先ほど同僚の森山が問いかけた時にはなかなか口を割らなかった女性が、今や目の中をハートにして、ぺらぺらと喋っていた。
「女の人と話さなくていいのは助かるが……。やっぱ、あいつのこういうトコはムカつくな」
嫉妬と分かりつつも、笠松は苦虫を噛み潰す。
とりあえず、女性との会話が事件に関係あるものから脱線し始めたようだから、そろそろ後輩の背中を蹴ろう。
そう腹に決めると、笠松は助走の為の距離を取り、後輩の背中に向かって走り出した。