Detective
タンッと、ダーツの矢がブルに刺さる。
「退屈だ」
そう囁いて、探偵はまた一つ矢を投げた。探偵の投げた矢は、またしても吸い込まれるようにブルに刺さる。
「暇なら、さっきの依頼を受ければよかっただろ」
黛は当然の疑問を投げかける。
「あれは僕好みの事件じゃない」
と、探偵は拗ねたように答えた。
「あんな簡単な謎じゃあ、つまらないってか。
銀のスプーン咥えて生まれてきたみたいなおぼっちゃんには、依頼料よりも事件の難易度のほうが重要なんだな」
黛が皮肉っぽく言うと、探偵は意味深な笑みを浮かべる。
「事件の難易度が高いほうがいいのは、お前もだろう?」
見透かしたような態度で言って、探偵はオッドアイを愉快げに細めた。