Detective
あの女性たちの群れに突っ込んで来い。
そう命じると、後輩の探偵は見るからにあたふたとし始めた。
「本気で言ってるんスか、先輩!?
オレを女の子の群れに突っ込むなんて、鳩の群れに猫を突っ込むようなもんスよ!」
喚きたてる探偵に、笠松はニッと笑って答えた。
「その通りだよ。騒動起こしてこいって言ってんだ。
なんなら、あの場にいる女性たちの視線、全部奪ってこい」
改めて命じると、後輩はぽかんとした顔になった後、すべてを理解したように不敵に笑む。
「りょーかいっス。一人残らずオレに釘付けにしちゃうっスよ」
生意気に答えた後輩の背を軽く蹴って、笠松は「行ってこい」と後押しをした。