黒籠アリス2
「そうだ。今度は大きくなるんでした。そして、また小さくなって……。自分の涙の海に溺れて……」
黒子は一つ一つ、物語の道筋を辿っていく。
そうこうしている間に、周囲に深さ十センチほどの大きな水溜まりができて、部屋が半分水浸しなってしまった。
「え? ボク、泣いてませんけど?」
呆然としているうちに、うっかり足を滑らせて、ざぶん! と塩辛い水に首まで浸かってしまう。
涙(?)の池の中は、落ちてくる鳥や動物たちでぎゅうぎゅう詰めになっていった。
アヒルやインコ、鷲の子もいて、ほかにもいろいろな変わった生き物たちがいる。
仕方なく黒子は一番前に出て、動物たちと揃って岸辺へと向かっていった。
「……あれ? 彼は――」
岸辺へ向かう途中で、黒子は気付く。
動物たちの群れの中に、知り合いによく似た姿のドードーがいることに。