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もう二度と、

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「ちょっと待てよ! キョウヤ!」

追いかけてくる呼び声に、徹底的に無視をする。言うべきことは言った。もう振り返ってやる必要も無い。呼び声だけが、俺の耳に届く。「キョウヤ」。そうすれば俺が考えを変えて立ち止まり、戻ってくるのだと信じてでもいるかのように、呼び続ける。そうだ、もっと呼べばいい。アイツが呼んで、それを俺が無視をした分だけ、アイツは思い知るだろう。

何度言ってやったか知れない。おまえを倒すのは俺だ。俺が心の底から、全力を懸けて倒したい相手は――おまえだけだ。そう言ってやる度に、アイツは頷いた。待っていると言った。だがアイツは馬鹿だ。何度言っても、すぐに忘れる。忘れさせない為には、何度でも言い聞かせるしかない。二度と忘れないように、アイツの心に刻みつけるしか。
エルドラゴは敗れた。ペガシスも戻ってきた。そして世界への切符も既にアイツの手の中だ。もうアイツの心を支配する、使命だとか問題だとか、そんなものは無いだろう。自由になったアイツの心に、もう一度思い出させてやらなければならない。

この大会で勝つことも、そしてアイツが追いかけてくることも、俺には簡単に予想出来ていたことだった。アイツが「おめでとう」と言ってきた時さえ、やっぱりなと思った。また忘れやがって。一緒に世界大会へ行けるんだと疑いもしなかったんだろう。馬鹿が。一緒に世界へ行くっていうのは、俺とおまえは戦わないということだ。バトルブレーダーズの時とは訳が違う。チーム戦でフォーメーションだの協力だの、冗談じゃない。俺の目的は、おまえに負けたあの時から、ずっと同じだ。
おまえも同じになればいい。俺はおまえの仲間なんかじゃない、友人でもない。共闘なんてまっぴらだ。おまえは俺の倒すべきライバルだ、だからおまえもそう思え。

銀河の呼び声が遠ざかる。俺に拒絶されて、アイツは傷つくだろうか。俺を詰るだろうか。それならそれで構わない。そうやって思い知ればいい。心に刻みつければいい。おまえにとって俺が何なのか。
もう二度と、忘れることは許さない。
作品名:もう二度と、 作家名:ひょっこ