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ワクワクドキドキときどきプンプン 2日目

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 思いながら廊下を戻ってみれば、待っていたのは錆兎と炭治郎だけだった。
「真菰! 禰豆子は!?」
「禰豆子ちゃん、脱衣所にも大浴場にもいなかったよ。宇髄さんと煉獄さんはどこ行ったの?」
 炭治郎の問いかけに答えながら小走りに近づいていった真菰に、男湯のほう見に行ったと錆兎が答えた。
「間違えたのに気づいたのかもしれないからって言ってな。とりあえず禰豆子がいてもいなくても、四十五分になったらさっきの休憩所で待ち合わせることにした」
 なるほど。今度はかなり合理的な判断だ。うなずいて真菰は、突き当りの壁に掛かっている時計を見上げた。
「今、四時二十分かぁ。じゃあ次はどこを探そうか」
「女湯だって大浴場のほかにもいろいろ風呂があるんだろう? もしかしたら、ほかの風呂に行ってるんじゃないのか?」
 錆兎の言葉に思わず目をむき、真菰は炭治郎と声をそろえて言った。

「禰豆子ちゃんにかぎってそれはないよ!」
「禰豆子にかぎってそれはない!」

 炭治郎と顔を見合わせてうなずきあう。ちょっとビックリしている錆兎に、ずいっと顔を寄せ、さらに真菰と炭治郎は言い募った。
「だって、禰豆子ちゃんは義勇にタオルを持っていこうとしてたんだよ?」
「しなくちゃいけないことがあるのに、それを放り出して勝手なことするなんて、禰豆子は絶対にしないぞ!」
 真面目な顔で詰め寄った二人に、錆兎は少しだけたじろいだけれど、すぐに「そうだな」とうなずき返してくれた。
「たしかに、禰豆子はそういうとこちゃんとしてるな。悪かった」
 潔く謝る錆兎に笑って「いいよ」と言った炭治郎が、けれどすぐにまた顔を曇らせた。
「でも、そしたら禰豆子はどこに行ったんだろう」
「男湯に行ってもいいけど、それじゃ宇髄さんたちと同じとこ探すことになるよねぇ」
「別のところを探すほうが理に適ってるな」
 うーん、と三人で考えていたら、突然炭治郎が、あっ! と声を上げた。
「ツリーハウス! 露天風呂の後に行こうって言ってただろ? もしかしたら、俺たちがいると思って禰豆子もそっちに行ったのかも!」
 なるほど、それは十分に考えられる線だ。
「そうだね。女湯でロッカーが開かなかったら、私たちを探すに決まってるもんね」
「よし、それじゃツリーハウスに行ってみるか。ここからだとどう行くんだ? 男湯に戻るか?」
 聞かれて、真菰は錆兎と炭治郎の手を取り、女湯へと足を向けた。
「こっち! 女湯にもツリーハウスに行くドアがあったよ。そこから行けばいいよ」


 手を取り合って女湯の脱衣所を通ってツリーハウスに続くドアへ。気は急くけれど走ったら迷惑になっちゃうから小走りに。
 いますようにと願いながらドアを開けたら、そこは子供の笑い声であふれていた。
 きょろきょろと三人で見回してみたけれど、禰豆子の姿はない。ツリーハウスのなかも見に行ったけれど、やっぱり禰豆子はいなかった。
「どうしよう、禰豆子はここには来なかったのかな」
「私たちがいなかったから移動しちゃったのかも」
 途方に暮れて錆兎を見たら、錆兎もなんだか泣き出しそうな顔をしていた。もちろん、錆兎はこんなときに泣いたりしない。グッと涙を我慢する。だって。

「……あのさ、さっき宇髄さんに義勇さんが焦ってるって言われたとき、錆兎と真菰はなんであんなに悲しそうだったんだ?」

 突然、意を決した声で炭治郎が言った。一瞬だけ時が止まったような気がして、真菰が思わず縋るように錆兎を見ると、錆兎も同じ目をして真菰を見ていた。
 そんな真菰と錆兎にどう思ったのか、炭治郎が少し慌てながら、でもお兄ちゃんな顔をして言う。
「いきなりこんなこと言ってごめんな。でも、禰豆子も心配だけど、俺は錆兎たちのことも心配なんだ。あ! 俺よりずっと錆兎と真菰のほうが大人だってのはわかってるよ! でもさっきはなんだか泣き出しそうだった」

 うん、泣きそうになったよ。不安だったから。でも。でもね。

「……炭治郎は、早く大人になりたいって思ったことある?」
「え? うーん、そうだなぁ。ハチに噛まれそうになったときとか? 俺が大人だったら禰豆子を守れるのにって思ったかも。あと、父さんや母さんが忙しそうなときに、大人だったらもっと俺も手伝えるのにって思うかなぁ」
 だけどハチのときは義勇さんが助けてくれたから、子供のままで良かった。だって俺が子供だったから義勇さんに逢えた。ほわりと頬を赤くして、炭治郎はうれしそうにはにかむ。
 炭治郎は本当に義勇のことが大好きだ。私や錆兎と同じくらいに。もしかしたら、もう炭治郎のほうがずっと、義勇のことを好きなのかもしれないと思っちゃうぐらいに。それはまったく悪いことではないのだけれど、それでもどうしても少し不安で、真菰はちょっぴり切なく笑った。

「私と錆兎はね、義勇の心が迷子になっちゃってからずっと、早く大人にならなくちゃって思ってたよ。義勇を守りたいから。鱗滝さんのことだって、私たちが大人になったら守れると思ったから。でも……でももう義勇は、私たちに守られなくてもいいって、思ってるのかもしれない」