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ワクワクドキドキときどきプンプン 2日目

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 おそらくあそこに居合わせたのは偶然。義勇に声をかけたのも、煉獄が言うとおり善意でしかないとは思う。そもそも義勇だと気づいたかどうかすら怪しい。他意はないと思いはするが、ちょっとばかり気にかかる。
 もしかしてもしかしたら、本当にナンパだったりするかもしれないし……いや、それならそれで問題か。
 宇髄の懸念に気づかぬ一行は、むくれる義勇をなだめるのに必死だ。女には見えない間違えられるわけがないとなだめる錆兎たちの傍らで、義勇の不機嫌の理由がよくわかっていない炭治郎と禰豆子が義勇は綺麗だからと褒めて、義勇の顔をなんとも言えない表情にさせている。
 思わず爆笑しそうになるのをこらえてチラリと隣へ視線を移すと、煉獄も肩を震わせて下を向いていた。ふと顔を上げた煉獄と視線がぶつかり、無言のままうなずきあう。ここで笑えば義勇は完全にへそを曲げるだろう。以心伝心、煉獄と二人で笑いをこらえること暫し。
 義勇の髪がまだ濡れたままなことに気づいた真菰と禰豆子に、早く乾かさなきゃと急かされるころには、義勇の機嫌も直ったようだ。もともと怒りを引きずらぬ質なのか、怒りを持続するほどの気力もないのか。いずれにしても、初夏とはいえ夕暮れはまだ冷える。濡れた髪では風邪をひきかねないのも事実だ。
 機嫌を直してくれてなによりだと内心独り言ち、宇髄はまた煉獄と顔を見合わせ苦笑した。
 体調を崩したうえに風邪をひいたとあっては、子供たちにとっても義勇にとってもせっかくの休日が台無しになってしまう。昨夜からの子供たちのはしゃぎようや、炭治郎と髪を洗いあっていたときの義勇の穏やかで幸せそうな瞳を思い起こせば、それはあまりにも忍びない。

「髪を乾かしたあとはどうする? 冨岡が大丈夫なようなら、予定どおり夕飯まで竈門少年たちにはツリーハウスで遊んでもらって、俺たちはベンチで休むのはどうだ? ただ横になっているよりも、子供たちが遊んでいるのを見ているほうが冨岡も安心できるだろうし、子供たちだって視界に冨岡がいるほうが憂いなく遊べるからな」
 煉獄の提案に、義勇がコクリとうなずいた。どこかホッとして見えるその顔に、宇髄は自分によく似た顔を思い起こし、やっぱり違うなと自嘲の笑みを押し殺した。
 身勝手なのは承知の上だ。ただのエゴだと自覚してもいる。それでも義勇の感情を読み取るたび、宇髄は安堵している自分に気づく。昨夜の鱗滝の話を聞いてからは、なおさらに。
 そして思い出すのはやはり、先程の邂逅だ。きっとあの男は一瞬見ただけの自分など気にも留めていないだろうが、こちらにはそうもいかない事情がある。
 とりあえず探ってみるかと、優先項目として心に刻み込む。結果によっては自分一人で動くことになるだろうけれど、もとより宇髄はそのつもりだ。
 守りたいのは義勇だけではなく錆兎や真菰、炭治郎たちも含めた全員だ。そうでなければ意味がない。誰一人傷つけたくはないし、一人のほうが正直なところ動きやすい。
 そんな宇髄の本心を知れば、錆兎はきっと怒り狂うだろう。いや、すでに怪しんでいるのは明白だ。それでも、意気込みだけではどうにもならないことだってあるのだ。明かしてやる気はない。

 宇髄の内心などまったく知らぬ素振りの錆兎が、早く来いと急かすのに笑って応えてやりながら、宇髄は気持ちを切り替える。
 先を行く義勇や子供たちの背を眺めつつ、宇髄はゆっくりと歩きだした。
 諸々の心配事やら懸念への対処は、明日からでいい。今度はきっと遅くはならない。

 さぁ、楽しい休日を仕切り直そうか。