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ワクワクドキドキときどきプンプン 3日目

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 真菰と禰豆子はそれでいいかもしれないが、男組はどうすりゃいいんだ? 困惑する錆兎と違って、炭治郎も瞳を輝かせ「じゃあ義勇さんのは俺が作りますね!」とニコニコしている。
「炭治郎、花冠なんて作れるのか?」
「できるよ。禰豆子にせがまれて練習したから!」
 へぇ、と感心しつつも、それじゃ作れないのは俺と義勇だけかと思ったら。
「義勇さんは花冠作れますか?」
「……姉さんが教えてくれた」
 なんと。義勇も花冠が作れるとは思いもせず、錆兎の目が思わず丸くなる。
「義勇も作れるのか? 初めて知ったぞ」
「言ったことなかったか?」
 小首をかしげる姿が、見慣れぬかわいらしい格好のせいで、より可憐さを強調している気がする。真菰の感想も同様なのか、いつも以上にニコニコ顔だ。どうして女ってのは、かわいいものがこんなにも好きなのか。錆兎にはよくわからないが、真菰が上機嫌で、義勇がかわいいなら、文句などない。

 ……義勇がかわいいのは見た目じゃなくて性格だけどな! いや、見た目も今日はかわいいけども! なんなら、存在がかわいいと言ってもいいけれども!

「じゃあ錆兎には私が教えてあげるね」
 笑う真菰に手を取られ、狼狽はさておき錆兎もみんなと一緒に花を摘む。とにもかくにもさっさと撮影を終わらせねばならない。一人でゴネるなんてガキ臭いことを、錆兎にはできるわけなかった。
「錆兎はシロツメクサとタンポポ、どっちで作る?」
 真菰に聞かれて、ちょっと悩んだ錆兎は禰豆子に「禰豆子はどっちがいいんだ?」とたずねてみた。禰豆子が真菰のぶんを作るというのなら、真菰は錆兎の、錆兎は禰豆子のを作れば、おさまりがいいと思ったので。
 もし真菰に作ってやるなら、錆兎が選ぶのはシロツメクサ一択だ。真菰には黄色いタンポポよりも、白いシロツメクサのほうがきっと似合う。でも禰豆子には、禰豆子が好きな花で作ってやるべきだろう。
「んとね、タンポポ!」
 満面の笑みで答えた禰豆子に、炭治郎がどこかおかしげに笑い返した。
「禰豆子はタンポポが本当に大好きだよな」
「うん! 大好き! タンポポ見るとねぇ、なんだかほわぁってするの」
 うふふと笑う禰豆子はといえば、迷わずシロツメクサを摘みだしている。禰豆子も真菰の花冠にはシロツメクサを選んだらしい。
「レンゲがあったらいいのにねぇ。炭治郎はレンゲの花冠のほうが似合いそうだもん。あ、錆兎もシロツメクサでいい? 錆兎は白が似合うから」
「そうかなぁ? レンゲかぁ、考えたことないや」
 炭治郎は首をひねっているが、なるほど、たしかにレンゲの花は炭治郎に似合いそうだ。シロツメクサでもタンポポでも似合いそうではあるけれど、選ぶならレンゲ。
 真菰はやっぱりセンスがいいなと、錆兎はちょっぴり自慢に思う。
「義勇さんはシロツメクサとタンポポ、どっちがいいですか?」
 炭治郎の問いに、義勇はどちらでもと言いたげに少し首をかしげたが、少し離れて見守っている宇髄と煉獄の視線に気づいたのか、ちょっとだけとまどうようにシロツメクサを指差した。

 あぁ、昨日と同じだ。流されるままじゃなく、今日も義勇は自分で選択する。俺達が先回りして選んでやっていたのは、やっぱり義勇にとってはよくないことだったのかもしれない。

 少し切なくなったのを、真菰だけは感じ取ったみたいだ。ポンッとさり気なく錆兎の背をたたいて、作ろうと笑ってくれる。
「ぎゆさんはタンポポ嫌い?」
「嫌いじゃない……けど、タンポポは煉獄のほうが似合うと思う」
「は? 俺か?」
 禰豆子と義勇の会話を聞いた煉獄が、きょとんと義勇を見返した。タンポポなんて愛らしい花が似合うと言われるとは、煉獄本人も思わなかったんだろう。隣の宇髄もおや? という顔をしている。
「タンポポは、ダンディライオンだから……煉獄に似合う」
「ライオン? タンポポはライオンなんですか?」
「花がたてがみに似てるから、英語でそういう」
 炭治郎もタンポポ、お日様みたいだからとつづけた義勇に、ほぉっと感心した顔で義勇を見上げる炭治郎の頬が、ほんのりと赤らむ。ついでに、煉獄も。
「ライオンねぇ、たしかに煉獄はそういうイメージかもな」
「そうだろうか……いや、なんだか照れるな!」
 ハハハと大きな声で笑う煉獄は、ずいぶんと照れくさそうだ。笑い声がなんだか照れ隠しめいている。
 煉獄は義勇のことをかなり気に入っているようだけれど、当の義勇が煉獄に対して少し苦手意識を持っていることにも、ちゃんと気づいている節がある。まさかそんなふうに義勇が思っているだなんて、かけらも想像していなかったんだろう。なんだかとってもうれしそうだ。
「宇髄さんは髪が銀色だから、レンゲのほうが似合いそうだねぇ。今度作ってあげるね」
「そりゃどうも。けど、そもそも俺様に花冠なんて似合うかねぇ」
 真菰が笑って言うのに宇髄が返したのは、まさしく苦笑い。それに対しても義勇はきょとりと小首をかしげた。
「宇髄はきれいだから花が似合うと思うが……」
「……おまえ、しゃべったらしゃべったで、とんでもねぇな」
 一瞬の絶句の後に、宇髄が口にしたのはそんな一言。心外!! と顔に出した義勇には悪いが、錆兎もちょっと宇髄に共感してしまう。
 義勇は言葉が足りないし、そもそも無口なほうだけど、言葉にするのはいつだって本心だ。偽りやお愛想の言葉なんて、義勇は決して口にしない。だから今の言葉だって、義勇は心からそう思っているんだろう。
 宇髄は花が似合うくらい、きれい。そんなことをあんな愛らしい格好をした義勇に言われてみろ、そりゃあさしもの宇髄だってうろたえるってものだろう。
 しかも、義勇に負けず劣らず純粋無垢な炭治郎と禰豆子まで、似合う似合う宇髄さんはきれいと笑うのだ。いつも皮肉げな笑みを浮かべるこの優男を、言葉を失うほどうろたえさせるなんて、きっとこの三人にしかできないに違いない。

 あぁ、いいなぁと、錆兎は素直に思う。蔦子が亡くなって以来、こんなふうに穏やかで温かい時間がどれだけあっただろうか。
 きっかけはとんでもなかったけれど、こんなふうにみんなでやさしく笑い合えるのなら、映画に出ることにして本当によかった。このやわらかく温かい空間を映像に残せるだけでも、きっと意味はある。
 いいなぁ。こんな時間が、本当に好きだ。もっとずっと、こんな時間がつづけばいいのに。
 錆兎自身も、とてもやさしくて温かい気持ちでいたというのに。

「……いいっ! いいなぁっ、いい!! 最高ですよっ、究極の癒しで萌えです!! 心洗われる光景ですっ! コンクールのオヤジな審査員どもなんてイチコロですよ!! まぁ僕の煩悩はこれぐらいじゃ消えやしませんけどねっ!!」

 …………お前はもう口を開くな。

 くずれるように膝をつきダンダンと地面をたたきながら雄叫びを上げる前田に、錆兎が思い浮かべた一言は、きっとキョトンとしている竈門兄妹以外全員の感想だろう。

 義勇の顔からもやわらかな空気が消え、スンッとなんともいえない表情になっていた。