二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

Kiss

INDEX|1ページ/1ページ|

 


キス。


唇と唇だったり、おでこだったりほっぺただったり。
昔はいっぱいしたよね。
おやすみって言う挨拶の代わりとか、ふざけて唇に押し付けただけとか。いろんなキス。
そういえば、ぼくからするよりも兄さんはキスをいっぱいぼくにくれた。
多分、母さんからお休みのキスをもらえなくなって、兄さんがかわりにしてくれたって言うのもあるんだろうね。
兄さんの柔らかかった唇の感触。今でもはっきり覚えてる。
なつかしいな。


でも、ときどき思い出すと悲しくなるんだ。
ぼくにはもう、味わえない感覚だから。
こうして兄さんが眠っているところを見ていても、ぼくにはキスを贈ることもできないんだ。
兄さんを責めてるわけじゃないよ。
ただね、ときどきもう一度兄さんの唇に触れたい。そんな適わない願いを抱いてしまうだけ。
おかしいかな。もうぼくたちお休みのキスをほしがるほど子供じゃないのに。


この気持ちはなんなんだろうね? 兄さん。
寂しいのかな? 恐いのかな? 
小さい頃、寝る前に必ず感じたいくつもの不安。それを払拭してくれたのがキスだったから。
でも、今抱いているこの気持ちはどれも違う気がする。
兄さんを見ていると、ないはずの心臓がきゅーってなにかに握り締められるようになるんだ。
そして、無性に兄さんのキスがほしくなる。
どうしてなんだろう? 
兄さんなら分かるのかな。
ぼくは、どうすればいいの? 
兄さん。
作品名:Kiss 作家名:日々夜