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静岡のとみちゃん
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悠々日和キャンピングカーの旅:⑨東北太平洋岸(茨城~岩手)

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■2月28日(7日目):高戸前浜海岸 ⇒ 南相馬(福島県)

 
【この日の概要】 夜が明けると、車中泊した場所が砂浜に面した海水浴場の駐車場だと分かった。地元の方から勧められた「高戸小浜海岸」は箱庭風の景勝地、「小名浜港」に立ち寄った後に行った「塩屋崎灯台」は海に突き出た岬の上に立つ白亜の灯台で、見事な展望を味わった。「福島第一原子力発電所」の津波事故による放射能汚染地区を走り抜け、新しくオープンした道の駅「なみえ」に到着した時は安堵した。そこで知った「東日本大震災・原子力災害伝承館」を訪れ、映像、写真、説明文の全てを食い入るように見た。今夜は道の駅「南相馬」で車中泊。

【この日のポイント】 道路脇に突然、「この先帰還困難区域」と書かれた看板が立ち始め、「軽車両・歩行者は通行できません」の看板も。そして最後は「ここから帰還困難区域」に置き換わった。どれも初めて見る看板で、緊張しながらの運転になった。

【本文】 早朝の5時半に目が覚めた。少しひんやりする。それでも7時間は眠ったが、もう1時間眠って6時半に起床。
 昨夜、ここに到着した際は外灯もなく真っ暗で、周囲の様子が全く分からなかったが、今、周囲の様子が分かった。海に向かって右側は外洋に面した広い砂浜で、左側は、海に突き出て、その先で直角に右に折れる防波堤があった。
 眠っている間に数台のサーファーの車が到着した様で、彼らは既に海に漂っていた。波打ち際まで行って、海や砂浜の写真を撮った。気持ちの良い青空が広がっている。
 振り返ると、女性サーファーが海に入る準備をしていたので、今朝の波の状況をあれこれ訊いた。その後、彼女は海に向かった。その後姿が美しく、シルエット風な写真を撮った。

 「ジル」に戻った時、散歩している高齢の男性から声を掛けられた。浜松ナンバーのためだろう。この高戸前浜海岸から少し北側の景勝地「高戸小浜(たかどこはま)海岸」を紹介してくれた。彼は最後に、「キャンピングカーの旅」は羨ましいと感想をくれた。そう言われると嬉しい。
 コーヒーとレンチンしたピザまんの軽い朝食を取った後、防波堤の先端まで行くこととした。
 駐車場の端で、ウォーキングの小休止中と思われる3人の男性に挨拶をして、ここから北側の観光スポットを訊いたところ、高台の上に建つ展望が素晴らしい「塩屋崎灯台」を勧めてくれた。

 防波堤の入口はフェンスで通行が遮断され、立入禁止と書かれていたプレートが掛けられていた。どうしようかと思案していたところ、フェンスのすぐ下の砂浜にいた男性から、フェンスの端から皆、防波堤に入っているよと教えてくれ、そこから入った。
 防波堤の外側には巨大なテトラポッドが二重に設置されていた。防波堤は海に向かって直角に突き出ており途中から右に折れ、陸と平行になっている。そこは外側も内側もテトラポッドが設置されており、その高さは視線より高く、海が見えない。防波堤の先端部は少し高くなっており、そこに近い所から両脇にはフェンスが設けられていたが、かなりの部分が破損していた。多分、外洋からの高波によるものだろう。今朝は波が高くないため問題はないが、立入禁止の理由を推測できた。
 防波堤の先端部からは周囲を見渡せた。高戸前浜海岸は南北に約2km、その北端に、この防波堤と車中泊した駐車場が位置している。サーファーが漂う方向を見た。防波堤の先端から多少見下ろす感じで、波を真横から見ることができた。サーファーの動きを暫く見ていると、彼らの好みの波の形やタイミングが分かったような気がした。

 地元の方々との会話やサーフィンの見物で、朝の高戸前浜海岸をゆっくりと味わうことができた。
 日常生活より早く起きてしまう「キャンピングカーの旅」は、今日も、目覚めた時から旅が始まっている。特に今日はいい感じのスタートを切ることができた。

 教えて頂いた「高戸小浜海岸」には直ぐに到着した。
 切り立った海食崖に挟まれ、中央には、二つのかなり尖った岩礁のある入り江で、崖を覆う松も含め全体が美しく、その規模は大きくないことから、箱庭の中で作り上げられたジオラマのような景色に思えた。その左右の、崖と岩礁の間に、昇る朝日と沈む夕陽が見られる景勝地のようで、「日本の渚百選」に選ばれている。
 陸側に目を向けると、全面コンクリート製の階段状の法面が100mほど広がっており、その上の殆どの家屋が新しい。津波の被害に遭って、建て直したのだろう。この旅で初めて、震災後に建てられた家屋に気付いた。これから北上する先では、ここ以上に、新しい住宅や街並みを見掛けることになるだろう。

 再びR6を北上し、茨城県から福島県に入った。津波や原発事故のイメージが強い福島県だが、そもそも美しい自然が多く、風光明媚な土地で、美味しいものが豊富にあり、それらを楽しみに走ってきた。
 そのひとつの塩屋崎灯台は、港町の小名浜を抜けた先にある。R6を右折して昔からの街並みを走り抜け、赤信号で止まったところ、交差する側の広い道の海側には小名浜の港らしい景色が見えたので、ナビで確認してから、そちらにハンドルを切った。
 その一帯は新しく建てられた建物が多く、大きなショッピングセンターも、正面の水族館も、そして広い道路も全てが新しい。
 海側に目をやると、やけに高い橋が架かっており、そこから小名浜港全体を見渡せるのではないかと考え、そこに向かったが、工事車両のみ通行ができる橋だった。後で調べたところ、この橋は「小名浜マリンブリッジ」で、橋の先は今、埋め立て工事現場のようで、工事が終了してからは多分、一般車でも渡れることになるのだろう。
 小名浜港は福島県最大の港湾で、古くは年貢米の積出港、そして石炭の積出港の歴史を持ち、現在は一部の漁港を含め、幾つもの埠頭から化学製品等を積出す国際港だ。

 再び県道に入り塩屋崎灯台を目指した。途中の道路工事を迂回して海沿いの道路に出た。南側を見ると、海に突き出た断崖の上に、太陽光に映える白い灯台が見え、その先の断崖直下の駐車場に「ジル」を停めた。
 その端には土産物店があり、海側のちょっとしたスペースには美空ひばりの歌碑が立っていた。彼女の病床からの復帰第一作目の「みだれ髪」と「塩屋崎」は全国ヒットになり、その縁の地として多くのファンが訪れるようになり、歌碑が建てられたとのことだ。

 かなり急な階段を登ると一気に眺望が広がった。入場料を支払い、灯台に続く緩やかな階段を進んだ。そこは馬の背のように左右に切れ込んだ断崖、直ぐに灯台の入口に着いた。百段を超す螺旋階段を上り、最後の狭い急な梯子階段の先の鋼鉄製のドアを開け展望台に出ると、吹き飛ばされそうなすさまじい風が吹いていた。73mの断崖の上に立つ24mの灯台、展望台の標高は90m以上だが、地上との風速の差は大きく、ウィンドブレーカーを着ていたのは正解だった。360度の展望は素晴らしく、強い風の中、暫くその景色を眺めていた。