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それは彼の初めての

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この男を壊すのは、俺だ。
それに気付いた時のこの気持ちをなんて言ったらいいんだろう。
心の奥から絞り出されていくような、自分を形成するすべてが音を立てて崩れていくような、逆に物凄い嵐をまとって作り上げられていくような、熱くて熱くて熱くて、
怖いぐらいに体が震えて、全て終わらせたくなって、でも立ち止まっちゃいけないような気がして。

快楽だ、絶頂だ、それはとてもこわくて俺を傷つけるものだ。
赤い血がながれて、全てがはじけ飛んだ。
頭の中が真っ白になった。
それは、とてもとてもとても


「とても、とても楽しいことだよ」

頭が痛い、酸欠みたいにふらふらしてる。
俺はこれが欲しい。
この男がほしい。

壊してしまいたい。お人形のように飾ってやりたい。
殺してしまいたい、ほしいほしい。



この男は狂気だ。
暴力で形成されたおそろしい刃物だ。
人間の形をしたなにかおぞましいどろどろしたものだ。
だから、だからほしい。
この男がいなくなったら、全てが俺のものになる。




そうだ、俺はこわい。
このおとこがこわい。


でもそれ以上に欲しい。
きみがほしい。

その感情さえがおそろしい。
おそろしいのはきもちいい。


俺は、俺を理解していた。
この感情は、おぞましいこの気持ちは。
ぐちゃぐちゃに混ざり合って匂い立つこの気持ちは。





(どこまでも陳腐なその響きは)






/出会った瞬間恋におちました。

作品名:それは彼の初めての 作家名:佐藤