たられば
いやなにもなにも変わりはしないと首をもどす。
今日も日差しはどこか温暖化を示唆し、二酸化炭素が増えているらしい空の下、コンクリートでコーティングしされた地面を選んで久しい人間は相も変わらず増殖中。真昼の消し忘れたような月は一個しかなくて、雲さえ綿あめの残りかすのような有り様で、存在を自重しているのに、ショウシカを叫んでいる島国の人間は群れているのだ。
忌々しいほど自分の皮膚の外側はなにも変わっていない。
では中は?
皮膚の内側、肉と骨の奥にあって、それらを動かせる器官とは別にある、心とやらは、何か変わっただろうか。
心。僕が、ただ唯一従える僕の心は、変わっただろうか。
そこまで広げた思考を改めて見返して、また雲雀は首を傾げる。一体、何を考えているのだろう。この思索の果ては、一体どこへ向かっているのだろう。
そこまで考えて雲雀はようやく気付いた。
今日も温暖化を示唆している日差し、二酸化炭素が増えているらしい空、コンクリートと人間でコーティングされた地面、消し忘れた真昼の月、その他ありとあらゆる原色のものたち。
そのどれでもいいから少しでいいから変わっていてほしかったのだと。僕は、ようやく気付く。
君が死んでから迎える、初めての季節に。