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もかこ@久々更新
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novelistID. 3785
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華麗なる響宴

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「ほらほら、これっ!パック!」

きつい黄色の、粘土のようなものを出してきた。
香りからするに、生姜。
パック、のイメージがつかず、思い出しているうちに脳内に、奇妙な映像が流れた。

「・・・パック、は、あれか?
たまにハンガリーが奇妙な仮面をつけて不思議な踊りを踊っているときの・・・」

白い仮面をつけて暗い部屋の中、妙な香りと音楽。
そこで見たハンガリー。
ドイツは怖かった。
想像を絶するものだった。
あまりに恐ろしくて、声すらあげられなかった。
思い出してしまった。

「何それ超見たいんだけど。
多分それと同じようなやつだと思うよ。ドイツ、俺のほっぺた好きでしょ?」

イタリアもパックをつけて不思議な踊りを踊るんだろうか。
俺はそれを見てもイタリアを愛せるだろうか。
ドイツを不安にさせるのに、十分だった。

「あ、あぁ。柔らかいし餅みたいに伸びるところも面白いしな。」

いや、愛せる。
黄色いパックを塗りながら、にこにこ笑うイタリアを見て、そう思い安心した。

「そういう好きじゃなくてっ。これ塗るとね、ツルツルになるんだよ〜。
ドイツも一緒に使お?」
「俺がか?いや、いらんだろう・・・」

お世辞ではなく美人の部類に入るであろうハンガリーがつけていても怖いのだし、
ドイツは自分が塗ったら恐怖以外の何者でもないのではないかと思う。
しかし言葉だけの抵抗は、全く意味を成さなかった。

「だ〜めっ。もう塗っちゃうんだからねっ!」
「お、おい・・・」
「ドイツたまに唇ガサガサしてるもんねぇ。これでツルツルだよっ♪」

生姜の強い香りが、鼻をつく。
塗られた顔はどうなっているのだろう。想像できなかった。
おもむろにケータイを取り出し、イタリアがドイツを写真に撮る。

「ほらっドイツの顔おっかしいねぇ♪」
「・・・お前の顔だって、同じだ。」

イタリアがパックをつけた顔のまま笑う。

「うぷぷおかしい面白過ぎるよ・・・送信っ!」
「送信!?お前どこに送った!?」
「フランス兄ちゃんと日本♪」

イタリアの動きを止めるより前に、イタリアは最悪な二人に送信してしまっていた。
フランスも日本も、人の不幸が大好きだ。
それを笑いものにするのはもっと好きだ。

「イタリアアアアァ!!」

今更イタリアを怒鳴ったところで、全てはもう、遅かった。

「あははははちょーウケるっwあんまり俺をいじめるからだよ〜ぉ♪」
「お前はああぁ!!また俺を笑い者にしたいのか!!」
「も〜遅いようぷぷwあっ返信v日本はやぁいv」

“ナイスショットですイタリアくん!これは永久保存ですね!”

「くそっ・・・下手に文明が発展したからだ・・・!!」
「フランス兄ちゃん遅いなぁ、飲んでるのかな?」

楽しそうなイタリアに、絶望的な気持ちになった。
またバカにされるのだ。
がっくりと落胆すると、ふと、顔に異変を感じた。

「・・・なぁ・・・このパックとやら・・・妙に顔が痛いんだが・・・」
「あっピリピリする感じ?
判るぅ俺も肌が傷んでるときそんな感じするもんね〜。
でも効いてる証拠だよ、もう5分くらい待ってて!」

イタリアの表現は的確だった。顔が全体的にピリピリと、微弱に痛む。
不思議な感覚だ。
あと5分。
イタリアが言った時間が、あまりに遠くに感じる。
何やら他のセッケンの説明をしていたが、それはドイツの耳には全く入ることは無く。

「ぬるま湯でゆっくり落としてあげるんだよ、俺が落としてあげるね〜」

コットンか何かで撫でるように、イタリアがパックを落としてくれる。
痛い。さっきから、ずっと。

「ほらっつるつるだよねっドイツv
今日はこのまま・・・ドイツ!?」

この状態で耐えろと?拷問か。
イタリアの可愛い優しい手から解放され、慌てて顔を洗い流す。
いつも通り、冷たい水。
一瞬、嫌な予感を拭ってくれた。

「も〜っそれじゃあ意味ないんだよドイツぅ!
でもしっかり浸透してれば大丈夫かなぁ、ほらぁ俺の化粧水つけてあげるからぁ」

しかしイタリアはドイツの慌てぶりなど判らず、何故洗い流してしまったのかと不機嫌だ。
それでも引かず、化粧水だクリームだと、女か。

「いらん!!もう寝るぞ!!」
「え〜っ?ドイツぅ何怒ってんのぉ・・・?」

ひりひりした感覚は、熱を取り戻すと同時に復活していく。かゆい。たまらない。
ドイツはもう、イタリアにかまっている余裕などなかった。

「怒っとらん!!」


「あ〜も〜何だよヴェストこの顔!!
バッカおめぇだから心配したのによ!!」

朝方。
プロイセンが慌てた顔でドイツの肩を両手で掴んだ。
あのパックは、ドイツの顔にはキツすぎた。

「・・・兄貴・・・昨日真夜中に電話してきたのはそれか・・・?」

家の中だというのにニット帽、マスク。
サングラスまでするのは、イタリアに触られてかゆみに悶え苦しまずに済ませるためだ。
ゆっくりとそれを外させると、
顔はすっかり赤く、粉が吹くほど乾燥し、ところどころブツブツと吹き出物ができている。
まして、顔だ。
イタリアは悲惨な状態になったドイツの顔を、自分のせいだと泣いた。

「昨日イタリアちゃんからフランスにメール来ただろ、そのときまた3人で飲んでたんだよ。
んであれ見てよ。
まさかなとは思ったがやっぱか・・・あのなイタリアちゃん、
ヴェストは湿布やバンソーコーでもかぶれる見た目に合わない超敏感肌なんだよ。
まぁ、知らなかったんだから、仕方ねぇけどな。
あ〜あ〜ブッツブツじゃねぇか。
いつかの薬また買ってくるかぁ・・・」

まだドイツが小さかった頃、よく怪我をして、包帯を巻いたりした。
そのたびにかぶれて可哀想なことになるため、プロイセンはよくよく悩んでいたのだ。
大人になって、自分でそういう管理ができるようになってからは、考えたこともなかった。

「最初はおもろかったんやけどな、笑わへんプーを見て興ざめや。
またお笑いネタできよった思うたんやけどなぁ、青ざめた顔に爆笑やなんて、よう言えんやろ?」
「まぁなぁ。・・・てゆーかイタリア泣くなよ、仕方ねぇだろ知らなかったんだから。」
「だ、だってぇ・・・こんなことになるなんて思わなかったんだもぉん・・・ひぅっ、ごめんねドイツぅ・・・」

泣きながら抱きついてくるイタリアに、顔だけは触れられまいと体を反らす。

「あぁ、イタリア、俺も言っておくべきだった。
だから泣かないでくれ。」

少し身体を離されたことが、ますますイタリアの気持ちを傷つけたようで。
バッグの中から色々なものを出してきて、ドイツの胸に押しつけた。

「敏感肌用のクリームとかいっぱい持ってるから!!それ塗ろ、それで早く治そ!?」
「いや、お前からのものはやめておく・・・兄貴、いつかの薬はまた手に入るのか」
「やぁだぁドイツぅ〜!!俺にも何かさせて俺が何とかしてあげるからぁ〜!!」

イタリアの泣き叫ぶ声を聞きながら。
それから数日後、ドイツのかぶれ肌は治ったのだった。
作品名:華麗なる響宴 作家名:もかこ@久々更新