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My sweet kitty

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夕食を終え、洗い物を済ませてから居間に入ってきた同居人を見て、アーサーは盛大にその太い眉を顰めた。
入ってきたのはアーサーの腰元辺りの身長しかない幼子。
髪の毛は漆黒で、瞳も髪と同じ色をしている。
そして、その頭には大きな猫の耳。
アーサーの同居人は人間ではない。


と、いうのも時間は2年前まで遡る。
資産家だった祖父が死んで、遺産を相続したアーサーだったが、世界各国にあった住居の中で異質なものを見つけた。
日本にある純和風の家屋。
世界の家はすべて本家である屋敷にならっているのに、唯一1つだけその国の家なのだ。
不思議に思って、アーサーが直接見に行くと、そこには一人の青年が住んでいた。
乳白色のしっとりとした肌と絹糸のような流れる黒髪。
表情はやや分かりにくいが、穏やかな気配を身に纏った静かな青年。
アーサーは一目見た時から、大変彼を気に入った。
つまりは一目惚れだ。
祖父が死んだことを伝えれば、出て行くの一点張りだったのだが、理由を聞けばさらに驚く。
彼、菊は人間ではなく、この屋敷に住み着いている猫又という妖怪らしい。
人には見えないものを見る祖父が気に入って、たまに寄っては話をしていたというわけだ。
祖父に感謝を覚えつつ、それでもいいからここにいてくれと、半ば懇願に近い形で菊はここにいるという経緯があった。

さて、アーサーはというと人生初の一目惚れで頭は春爛漫。
本国の屋敷を人に任せて、ここに移り住んだとそういうことだ。

一緒に住んで、愛を囁き、時には強引に迫って晴れて恋仲にまでなった2人の生活は概ね順調だ。


と、今目の前にいる幼子も2つに割れた尻尾をゆらゆらと揺らしながら、アーサーの視線を受けている。
妖怪である菊は、昼間の空気に弱い。
妖力を抑えるために子供の姿になっていることが多いのだ。
散歩に出るときなど、たまに本当に猫の姿になっている。
夜の空気は力を与えてくれる為、普段ならもう青年の姿に戻っている時間。

「なぁ、なんでまだガキの姿なんだ?」
「・・・べつに、いいじゃないですか?」
「よくねぇよ。今から風呂って時にイチャイチャできねぇじゃねぇか」

ふいっと視線を反らす菊に、アーサーはさらに言い募って口をヘの字に曲げた。
その言葉に、菊のまろい頬が赤く染まる。

「イチャイチャって・・・。だ、だってあーさーさん、いっぱい・・その・・・い、いやらしいこと、するから」
「恋人なんだから当然だろ?いつだって体中に触れてたい」

言いながら、その細い腕を取って軽々と抱きかかえてから、自分のあぐらの上に乗せた。

「ひゃっ」

突然のことに可愛らしい声を上げたが、さしたる抵抗もなくちょこんとアーサーの足の間に納まった。

「まぁいいけどな。お前がその気ならこの姿でも色々してやるよ」
「え・・・!?」
「なんだ?本気でなんにもできねぇと思ってんのか?お前がお前ならどんな姿だってヤれんだぞ」
「う、うそっ」
「ホントだって。その小さなお口に『ピー』んで『ピー』もいいし、俺のを『ピーピー』させて『ピーピーピー』もいいな。そのほっそい『ピー』に『ピー』突っ込んで『ピー』アリだな。あぁ、その小せぇ『ピーピー』に『ピーピーピーピーピー』できるしな。問題なく楽しめるぞ」

ぎゅっといつもより小さいその体を抱き締めて楽しそうに言っているが、菊には半分も理解できなかった。
いやしたくなかった。

「そ、そんなこと、いまのからだでされたら、わ、わたしこわれちゃいますっ」

真っ赤を通り越してもはや青褪めている。
手加減なしで愛してくるアーサーは本当にやりそうで怖い。
柔らかな黒い耳がふにゃりと垂れてふるふると震えている。
尻尾も菊の体の側面に隠れるようにして揺れていた。

「じゃ、元の姿になれよ。もっとしっかり抱き締めたい」
「う・・・うにゃ・・」

さらりと揺れる前髪に隠された額に軽く口付けられて、菊は観念したように瞳を伏せた。
軽い音と共に細い青年の姿に成長する。

「もう・・・最初からそう言ってくださればいいのに」
「意趣返しって奴だ」
先に意地悪したのはお前だろ?

喉の奥で笑いながらアーサーはしっかりとそのしなやかな体を抱き締めた。
同じくらいの目線に満足すると、その薄紅色の唇に自分のそれを重ねる。
背に回される腕に、満たされるのを感じながらアーサーはそっと目を閉じた。


可愛い可愛い自分だけの猫。

作品名:My sweet kitty 作家名:蓮 砂霧